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特に好きでないのに、なぜか好かれる




 一週間があっという間だなと、昨日は土曜日出勤だった雲江斬太の感想です。
 ぼくには、『ぼく自身は特に好きでもないのに好かれる』、というものが三つあります。それは、猫と子供と男です。


 年末に引っ越しまして、年も明け、なんとか生活も落ち着いてきました。
 いま住んでいる部屋を探すときに、不動産屋さんと一緒に三件の内見したときのことです。
 不動産屋の若いお姉ちゃんに案内されて、駅のそばの道をあるいていると、道沿いの植栽がガサガサ鳴って、一匹の猫が姿を現しました。不動産屋のお姉ちゃんは猫好きみたいで、その猫に大喜び。しゃがんみこんで手を出しているのですが、猫様の方はそれ以上近づく気はなく、停止。しばらく粘るも、接触はそこまででした。
 ぼくは心の中で、猫はいいから早く内見いきましょうよ、と思っていたのですが。

 猫は明らかに野良。でも、まるまる太っていて、絶対近所の誰かに餌もらっている様子。

「あたし、サビ猫、好きなんですよ。昔飼ってたんです。あの子、太ってたから地域猫ですかね」
 と嬉しそうな不動産屋のお姉ちゃん。

 そうなんだ。あのカラーリングをサビ猫っていうのね。そして、地域猫という独特のカテゴリー。


 で、結局その部屋に決めるのですが、そのサビ猫ちゃんとは、そのあとも何回か顔を合わせます。
 最初のころは睨まれていたのですが、ちょっと前からたまに、ぼくが歩いていると、ひょーんと前に飛び出して横切ってくるようになりました。そして、少し待ってます。

 前回は手の届くところまでちかづいて、挨拶したのですが、撫でませんでした。撫でれば撫でさせてくれそうですが、特に猫好きではないぼく。
 距離感を詰めることに少し躊躇しています。
 でも、猫には妙に好かれます。
 猫の話はここまでです。


 さて、未だに連載中のカクヨムコン参加作品『エンジェル・ジェネレーション』ですが、現在舞台は新宿ビル街へと移っています。
 この新宿副都心、意外に地下通路が充実していまして、あの界隈は、どこが地上でどこが地下だから分からない二重構造になっています。

 特に、新宿駅の西口は、改札をでてそのまま都庁まで歩けるのですが、あそこはすべて地下で、一種のジオフロントと言えますね。


 で、当時も今も、あまり知られていない細い地下道が走っていまして、それが新宿野村ビルやセンタービルへの地下と直通するもの。
 収太朗が田中様と出会うのはその辺りなのですが、ここといい、都庁や京王プラザホテルへ繋がる四号街路といい、正確に書きすぎていて却って分かりづらいかもしれません。
 が、これ、すべてきちんとロケハンした結果でもあります。

 昨日の更新で出てきたNSビルも、なんども足を運んでロケハンしています。当時は、1階だかB1階だかに、じっさいにウェディング・ドレスが展示されていまして、今回の筋運びはそこから想を得たものです。

 このNSビルは、のちに、コミック『うしおととら』にも登場していまして、『エンジェル・ジェネレーション』と似たような演出があります。これは作者がきちんとその場に足を運んでロケハンしている証左ですね。
 いまもNSビルにウェディング・ドレスのショーウィンドウがあるかは不明です。


 話をもどしますが、野村ビルにつながる細い地下道。
 『エンジェル・ジェネレーション』を書くためのロケハンで、ほぼ人の通らないあの地下道を何度か往復したときのことです。

 当時のぼくは青年でしたが、そのぼくに声をかけてきた男性がいました。
 きちんとしたスーツ姿の40代後半の普通のサラリーマンに見えました。彼はちょっとびびった感じでこう言ったのです。
「どこかでコーヒーでも飲みませんか?」

 ナンパだった! もしかして、そういうゾーン? さすが混沌の街、新宿!

 ちなみに、ぼくはその瞬間、くるりと背を向けて立ち去りました。←その後どうしたか、みなさんすごく聞きたがります。とくに女性は。


 そうです。ぼくは、『特に好きでもないのになぜか好かれる』ものがあります。

 猫と子供と、そして男!


6件のコメント

  • 私は猫に特に嫌われますね(;^_^A
    大好きなんですけど……。
    猫好きのひとから言わせれば「ぐいぐい行き過ぎ」なんだそうで……。
    なので、斬太さんの「さわれそうな距離にいるのにさわらない」に愕然としました。私ならきっと飛びつく……。そして嫌われる……。
  •  猫がいる。撫でられる距離に。それを撫でるのは果たして人の愛情なのか、人間のエゴなのか。
     とちょっと哲学的に思うのですが、本音を言うと、猫は可愛いと思うのですが、あんまり懐かれて家に泊まりに来られても嫌だなァと(笑)
     基本、ひとりでいたい人間なのですよ。

     もしかしたら、そういう距離感が、猫に好かれる理由かもしれません。
  • 実は、特に猫好きじゃないのですが。だから必然的にかまわないのですけど、妙に近寄られます。猫って天邪鬼なのかもしれないですね。
    実は子どもも好きじゃないけど、やたら好かれます。
    「近寄るんじゃない!」って、言うですけど。
    「なんで、なんで」って。
    う〜〜〜、世の中ままならない(笑)。
    雲江さま、小説のイメージから程遠いタイプなんでしょうか?
    新宿の地下街はときどき歩いていました。最近はめったに行かないんですが。懐かしかったです。
  •  猫は天邪鬼かもしれないですね。子供もそうかもしれないです。

     雨さん、新宿の地下街を歩いてましたか? たぶん、今行くとイメージ違うと思います。西口地下は、「目」も「母」も今はいないですから。副都心線の駅も、昔はなかったし。
  • 猫と子ども、純真な存在から好かれるなんてすごい。その男性もきっと純真だったのです(錯乱)
    新宿駅は魔窟のようで迷うのでできるだけ行きたくないですね。
    とはいえ、自分が知っている場所が劇中に出てくると嬉しかったりします。
    ウェディング・ドレスも、かつてあったものが作品に取り込まれて今になって私が読めるのも感慨深い気がします。勝手にですけれども。
  •  考えようによっては、小説という形で三十五年前の新宿が残っていたことになりますね。そう思うと感慨深いです。
     当時は都庁もなかったし、副都心線もなかった。あのころあった面白いお店もずいぶん無くなっているはずですが、地下道や道路は健在。
     ちょっと面白いですね。今度時間のある時に、また新宿に行ってみようかと思います。
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