• 異世界ファンタジー
  • SF

祝.累計50万PV突破 & 御礼小話

森に生きる者が累計50万PVを突破していました!
ありがとうございます!

作品のフォローも5,000人を越えていて驚きです。
ぜひ末長くお付き合いくださいませ。

温かいレビューも頂きまして感謝感激(*´∀`)
どうお返事すればよいのか分からなくて遅れましたが、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございます!


感謝の気持ちと致しまして、短いものですが小話を御用意致しました。
お楽しみいただけますと幸いです。



――――――



『君の名は』



 いつものようにうつらうつらと微睡んでいた。この森に我を襲うものはいない。
 だが、最近はその微睡みが途切れることが増えてきた。

「あ、いた」
『――我に用か』
「ふふ、今日も寝ていたんだ?君、寝るのが好きだね」
『――問いに答えよ』

 我の言うことなど気にせず隣に座る図々しい人間。面倒臭いが、片目を開けてじろりと睨んだ。

「なんとなくいるかなって思って探していただけだよ。依頼品は採取できたしね」
『なぜ我を探す?』
「これ、あげようと思って」

 人間が取り出したのは、茶色の固そうなものの上に果物を潰した様なものがのっている、甘い香りがするものだった。
 無意識に体を起こし、人間の横に座る。

『くれ』
「どーぞ」

 口に放りこまれたのは妙なる甘味。尻尾が揺れそうになるのをなんとか堪えた。

「よっぽど甘いものが好きなんだね」
『――ふん』

 笑う人間から視線を逸らす。

「僕はアルフォンス。アルって呼んで」
『人間の名なんぞ知らん』
「君の名前はなに?」

 我の唸りなんて意に介さない図太い神経の人間に問われて、遠い過去の記憶が呼び起こされた。

『――そんなものはない』
「え、そうなんだ」

 過去、微かに覚えがあるのは、母の声だけ。あれは我を呼んだことがあったのだろうか。

「うーん。……シロ、ハク、ホワイト、ヴァイス、ブラン、エウペ、プティー、アルブ」
『何を言っている?』

 突然呪文のようなことを唱え始めた人間から一歩離れた。気味が悪い。

「君の名前。どれがいいかと思って」
『何故お前が我に名付けようとしているのだ』
「だって、名前がないと不便でしょ?」
『不便など存在せん』
「そう?……じゃあ、君のことプティーって呼ぶね」
『何故だ!?』

 なんとなく可愛らしい響きに、全身の毛が逆立つ。我がプティーだと? この人間は何を言っているのだ。

「嫌?……じゃあ、ブラン」
『――それでいい』

 人間に名付けられるなんて気に入らない。だが、なんとなく覚えがある気がする響きに、いつの間にか頷いていた。

「ブラン、僕、また会いに来ていい?」
『――勝手にしろ』

 この人間は忙しない。来たかと思えばすぐに去っていく。

「またね、ブラン」

 頭をくしゃくしゃ撫でられる。我の頭にこうも気軽に触れるのはこの人間だけだ。

『また甘味を持ってこい。――アル』



――――――

2件のコメント

  • いいですね。小話なのに余韻があります、もう少し御礼小話が増えたらSSとしてまとめてみてはいかがでしょうか? これからも素敵なお話しを楽しみにしております。
  • ありがとうございます。
    そうですね。御礼小話が増えたらまとめた方が新規の方も読みやすいかも? 考えておきます。
    今後も楽しんで頂けますよう、執筆頑張ります!
コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する