前に何度か書いていますが、私はプロットを書きません。
小説を書き始める時は、一枚絵が降りてきた時、または「この台詞を言わせたい」と強く思う一言がきっかけになります。
とは言え、頭でキャラを適当に会話させたり遊ばせたりしている間や、書いていく内に、キャラはどんどん成長していきます。
その中で、おぼろげーに、おぼろげーに、ですが。
物語で一から百まで道筋があるなら、三、十六、二十三、くらいなてきとーな感覚で、「ここはこんな風になったら良いなー」くらいの想像をしたり、予定を立てたりはしています。
後は、主人公に必要なシーンとか。
時には、残酷ですが「このキャラ(または命)は途中で死ぬ」とか。
かなり大雑把ではありますが、一応決めていることはあります。
ただ、やっぱり予定は未定だな、と思い知らされる瞬間は、小説を書いているとよくあります。
例えば、今書いている作品の中で、「あのシーンに至ったら、この二人はがっつり言い合いして、罵り合って、もう険悪になるほど酷い言い合いをさせよう」「元々反りが合わなかったし、やらせるぞー」と考えているシーンがありました。
実際、そのシーンに至る直前は、「来るぞ来るぞー」と、こっちもわくわく(酷い)していまして。そのまま執筆に取り掛かりました。
が。
いざそのシーンが来た瞬間、この二人は険悪になってはくれませんでした。
むしろ、どちらも冷静でビックリでした。
言った方は言葉がきついし容赦はないし、一応言われた方は腹も立っているし、屈辱を感じてはいたんですが。
けれど、今一番必要なことを、足りないところを突きつけられ、考え込んでしまったという内容になってしまいました。
実は台詞の内容も、考えていたのがすぽーんと何処かへ行って、かなり変わりました。
しかも、その後は何話にも渡って険悪になって、口を開けばぎすぎすする関係になる予定だったんですが。
全くそうはなりませんでした。
まだ少し幼いと思っていたんですが、自分が予想していたよりも大人になっていたんだな、と後で気付いた感じです。
こういう瞬間に立ち会うと、「キャラってやっぱり生きているんだなー」と感じます。
彼らが走った後を、書いていく。そんな気持ちです。
こういうことはよくあるんですが、今回改めてそんな気持ちにさせられました。
「黒き翼~」の方も、結構そういう場面がありました(笑)。
実は、リヴェルが最初の方でステラと「命」について話し合う時、もう少し引く予定だったんです。どちらかというと諦めが強かったと言いますか。
でも、思った以上にリヴェルが頑固でした(笑)。
想像以上に、ステラとの関係を大事にしたいのだなと、思い直した瞬間でした。
祭りの方も、想像以上にステラが動いたし、キャラって凄いわーと何度感心したか分かりません。
きっと、書き続けている限り、こういう場面に遭遇するんだろうな、と思います。
そして、それが嬉しいし、見たいから、私はこれからも書き続けるんだろうと思ったここ数日の出来事でした(オチは無い)。