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「悪役令嬢の父親〜」、書籍3巻発売記念SS

いつも読んでくださりありがとうございます。

本日、6/28に悪役令嬢の父親の書籍3巻が発売されました(*^^*)

ささやかならがら応援してくださってる読者の方々に感謝の気持ちを込めて書いてみたので宜しければ楽しんでもらえると幸いですm(_ _)m

いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。


ーーーーーー

【たばこ】


「フォール公爵はたばこは吸わないんですね」

セリュー様との訓練の後のちょっとした時間にふと、そんな事を言われる。

「あまり健康に良くありませんからね」
「あ、やっぱりそうなんですか」

お酒とタバコは二十歳から。

前世では定番のフレーズだけど、この世界ではお酒やたばこに関して、そこまで細かい規制はない。

せいぜいが、成人前までお酒を禁止するくらいだろうか?

たばこにいたってはノータッチ。

喫煙家を否定する気はないし、たばこというのも好きな人は好きなのかもしれないが、俺はたばこに関しては転生前も後も吸うつもりは一切ない。

下手に人前で吸って副流煙を誘発するのも気が引けるし、何よりローリエやサーシャ達にタバコ臭いと言われるのだけは耐えられる気がしないというのものある。

うん、多分完全に後者が理由だよね。

我ながら自分に正直な事だ。

「セリュー様もご興味があっても大きくなるまではおやめになった方がいいと思いますよ。可能なら吸わない方が健康には良いので」
「今のところ興味はないので大丈夫です。それに、僕はフォール公爵のように強くなるまでは体を大切にしたいので」
「ご立派です」

実に向上心が高いと心底思う。

それに俺の言うこともきちんと聞いてるのがよく分かる。

セリュー様は真面目なので、頑張りすぎる嫌いがある。

剣の訓練にしても、オーバーワーク気味な自主練をしたことがあるので、『強くなるには己の体を大切に』ということも伝えたのだが、ちゃんと覚えていたのだろう。

「それにしても、よく私がたばこを吸ってないと分かりましたね」
「その……フォール公爵は良い匂いがするので……」

そう呟いて、セリュー様ははっとして、慌てて言葉を付け足す。

「えっと、周りの大人は皆その、独特の匂いでちょっと苦手なんですが……フォール公爵は安心する匂いというか、凄く優しくていいと言いますか……」

……あの、セリュー様。付け足す度にちょっと変な空気になるのですが……。

まあ、セリュー様のことだ、深い意味や変な意味ではないのだろう。

しかし、そうか。確かにタバコや酒臭い奴らが王城にはそこそこの確率でいるもんなぁ。

サーシャとローリエに臭いと言われないように清潔かつ、年齢と見た目に適切なコロンなどは少し使ってるけど、第三者から悪くないと言われると少し自信がつく。

「ありがとうございます、セリュー様」
「いえ。僕も……フォール公爵のようにカッコイイ大人になりたいです」
「セリュー様ならなれますよ」
「そ、そうですか?」
「ええ」

まあ、俺とは方向性がかなり違うだろうけどセリュー様はカッコよく老けられると何となく思う。

俺自身、カリスさんはそこそこ渋い見た目で嫌いじゃないけど、男ならやっぱりカッコよく老けていきたいよね。

そういう意味ではタバコが絵になりそうなカリスさんなんだけど……まあ、カッコ良さよりもサーシャやローリエ優先。

勿論、二人に嫌と思われないのは最低限だし、どうせならカッコよく思われたいけど、小道具は別物でも問題なし。

タバコ業界には悪いが、俺は業界よりも家族の健康を優先する男なのでご容赦願おう。

そんな風に俺としては軽くセリュー様の質問に答えたまでなんだけど、この言葉をセリュー様がずっと先まで覚えていて、大人になっても一切たばこに手をつけなかったんだけど……まあ、悪いことじゃないよね。

未来の喫煙者は減ったけど、セリュー様の健康を守れたってことで。

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