• 現代ファンタジー

天気が良かったので

筆を取ってみた。

自分の書いたものを、知り合い以外に見せるということ。今まで、勇気が出ずにいた。

趣味として、親しい個人に宛てた、短い小説を作ることはある。
けれど、見ず知らずの人に宛てたとして、響くほどのものなど書けるだろうかと。
むしろ、他者からの攻撃に怯えていて、批評を傷つかず、ちゃんと受け止めるという自信がなかった。

自分という人間の、価値の低さを知るのが怖い。
浅く、つまらない小説は、自分の写鏡のようだ。

鏡の中の自分の顔というのは、心を守る無意識によって、少し補正がなされているらしい。
創作も、自分の写し身という意味では、同じだろう。
軽い冗談のように、自分では面白いと思っていても、相手は内心退屈で、愛想笑いをしているだけかもしれない。

だから、鏡を使わず、自分を見る。
自分の綴る文字を通して。
結果、私の浅い人生と同様、これらがつまらなかったとしても。書き続けるのが目標だ。
もし、誰かが書いたものを読んで、何かを思ってくれるのなら、それ以上のことはない僥倖だ。

まずは、「彼」の物語をひとつ、仕上げよう。
そこに「彼」を置いて、一旦お別れしたい。

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