はじめまして。
『The・Mars』の作者タイヘイと申します。2024年下半期いま一番好きな同人作家はすしカルマ先生です。ヤンマガにどんどんお気に入りが増えていくのでなにより。
最後まで『The・Mars』を読んでいただき誠にありがとうございます。
応援の星やコメントメッセージはとても励みとなりました。重ねて感謝申し上げます。
返信しないのは申し訳ありません。なにぶんこの作者、しょっちゅう他人様の地雷を簡単に踏み抜き、神経を逆撫でする発言ばかり。作品の内容についてもいらんことを喋ってしまいそうなのでなるだけ自制していました。
ここでは完結を記念に少し本作の制作背景に触れていきます。
■
本作を書いた動機はといえばそんな大層なものはなく、たぶんカクヨムにいる読み専の方の多くと同じようにイイ作品に触れてふと書きたくなったというものでしょう。悪く言うとこんぐらいなら自分も書けんじゃねえかという思いはそこそこありました。
題材は、と決めようとざっとカクヨムで人気のあるジャンルタグを調べました。やっぱり読まれた反応は欲しかったからです。中学高校に入学したら友人作ろうと人気のある部活、野球サッカーを選ぶのとたいして変わりません。
で、「ざまぁ」が出てきました。
ぶっちゃけるとそんな好きではないんですよね。他人が不幸になる過程って。
とはいえ何事も一回くらいやってみるものだ。
確かそんなセリフが「星を継ぐ者」にあった気がします。
自分なりにざまぁなるものと向き合おうとしたら、今作ができたのですが、いやはや最初期案は全然違う作品だったんですよこれ。
最初はカタギじゃない人たちに嵌められた女が復讐しようと事務所に乗り込み麻雀勝負を申し込む一話完結ものでした。
復讐しか合ってねえ?
おっしゃる通り。バンド要素出てきたのはたぶんその時期に映画「きみの色」観に行ったからだと思います。
そんなこんなで大まかなプロットを組んでいきます。
前後編の二部構成。
サレ男視点。
浮気現場目撃からライヴハウスまでの前編。
ライヴハウスから出てシタ女からの真相告白、そして別れの後編。
本来はこの流れでした。
それがなにがどうしてか倍の四部構成にまで膨れ上がってしまったのか。
一章ずつ振り返っていきます。
■
『前編 Stray Cats』
この章自体は特に問題なく書き上がりました。
少し話は変わりますが、本作を仕上げる際、作者はあるルールを設けました。
一週間で一章を書くこと。
書き溜めなし。
制約と誓約的な縛りみたいなものです。ハンター連載再開おめでとう呪術完結お疲れ様。
深い意味はありません。この作品自体連載ものを意識したものなのでそういう作家気分を味わってみたくなっただけです。後々このお気楽な性格は作者の首を絞めることになりました。
小ネタ
摩耶花が読んでいた詩集はプレヴェール詩集です。
■
中編 (She's) Sexy and 17
ここから歯車は狂い出していきました。
二部構成のはずなのに中編とはこれ如何に。
プロット段階の後編の出だしはライヴが終わり店から出てきたところからでした。
当初はライヴ描写はカットする方向でいました。じゃあなぜといえば単に作者の筆がノッただけです。
執筆中、『UNISON SQUARE GARDEN』を始めとしたスリーピースバンドのライヴ映像を別モニターで流していたら脳内アドレナリンがどばどば流れ出し気づけば数千文字書いてる始末。
本作は読者が読みやすいようにと一章だいたい五千文字を目安にしていたのですがこのままでは確実に一万文字オーバー。ここで中編を設けることにしたものの、ライヴだけではもの足りず急遽ライヴハウスの店長諏訪部というキャラをでっち上げる羽目に。とりあえず体裁を整え後編へ。
ライブハウスにはコロナ禍以降とんと行ってません。マスクつけていない奴が多すぎる。
前編中編章題解説
『 (She's) Sexy And 17』というタイトルはバンド『STRAY CATS』 の曲が元ネタです。もちろん前編のタイトルも『STRAY CATS 』から。作中の店名もそこからです。
この辺りは初期二部構成の名残ですね。
ところでなぜこのバンドのこの曲なのかというと「STRAY CATS (She's) Sexy And 17 空耳」でググればわかります。作者はこういうふうによくふざけたりおちょくったりするので友人が少ないのです。
■
後編 Big Girl Don't Cry
摩耶花との別れのパート。
摩耶花は手を振りバンドメンバーと、幼馴染くんは自分の足で帰路につく。
文字数は一万文字近くなってしまいましたがもうここまで付き合ってくれた読者なら読んでくれるだろうとそのまま突っ切りました。
予定外の事は起こったもののこれにて無事に完結。
と、そうは問屋が卸さず。
「なんかちょっと地味じゃないラスト?」
唐突な登場だが作者に近しい人物、ここではYと呼称しよう。
本作執筆開始からずっとリアルに目の前で感想を述べていた者だ。近くにこういう人物がいてくれるのは大変ありがたい。読者は傲慢たれ。おかげで遠慮なく感謝と殺意をぶつけられる。
Y曰く悪くはないのだが物足りないとのこと。
それは作者自身も痛感していた。
ラストが公園で別れ、はいさよなら。
うーむ、しんみりはできるがいかんせん印象が薄い。
確かにもう少し手を加えたいがもう公開日まで時間もない。
ここでもう一章増やすことに。
小ネタ
林道の車はトヨタ・パブリカ。
後編章題解説
ファーギー・デュアメル氏の曲。失恋ソングといえばで教えてもらいました。いい歌ですね。
■
完結編 Welcome to this harsh yet wonderful world
完結編といえばなにを思い浮かべますか。
自分はスーパーロボット大戦Fです。魂必中イデオンガン余裕ゲームバランス加減しろ。
さて、いきなり時間飛んで十年後から始まるこの章ですが初期の冒頭文はこんな感じでした。
──摩耶花が死んだ。階段から落ちたらしい
この章考え始めた時はこんな流れでした。
十年後、摩耶花の葬式。
そこから回想、この部分は本決まりと変わらず。
回想終わり再び葬式。
ここで更生した間男先輩再登場。謝罪してくるも激昂した幼馴染くんに殴られたりします。テンポ悪くなったんで本決まりでも先輩カットしました。
愛菜出産日。事前に収録されていた新曲が公開される。ここも本決まりとは変わりませんね、摩耶花が存命かどうかぐらいで。
ある程度書き上げてYに感想を聞いてみました。
美由紀の産声と死してなお生き続ける摩耶花の歌。二つの要素が生む相乗効果にゴッドファーザーのオープニングを見ているような気分になりました。
自分としてもいい感じに仕上がったなと自負していたのだが、
「おめー頭でぇじょうぶか〜」
新作放送開始されたばかりのサイヤ人みたいな口調です。
どうやらお気に召さなかった模様。
そこから幾人かに読んでもらったが、
「いやこの流れで死なすのはおかしいだろう」
と、大不評でした。
正直自信あっただけにショックでしたね。
面白いと思ったんだけどなあ。
しかし、ポジティブに考えればこの作品はもっと面白くなれるということでもあります。
この時点で公開日まであと二日。
突貫工事が始まりました。
初期版は葬式、正式版は自宅リビングで、と舞台状況が違いましたが回想はそのままなので改稿は苦ではなかったのだが、まあ時間がない。公開時間ギリギリまで粘って書いてました。そのせいで文章がだいぶ雑になってしまいましたね。
終わった後は感慨もひとしおである。
Yもまあいいんじゃないとご満悦の様子。
作者自身としてはこの章どこか蛇足という印象も入ってしまった面が否めない。ので、作中で摩耶花に蛇足と言わせました。
完結編章題解説
作中オリジナルソングでありタイトルは自分がプレイしているFF14のキャラの「この厳しくも素晴らしい世界のことを」という台詞から引用。このすばではない。
■
というわけで、あとがき制作背景裏話的ななにかでした。
いや、自作を振り返るなんてそうそうしないので新鮮な気分ですね。人に語るというより自分用にまとめているのに近い。
次作はどうするかについて。
一応構想自体はあります。
しかし作者は気分屋なのでモチベ次第というところですね。あと積んでる本とゲームも溜めているのが多いのでそっちも忙しい。気長にお待ちしてもらえれば幸いです。
改めて、『The・Mars』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、メギド最新章VHに挑戦しよ。