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RPVコメント返し

「みことは。狐ことミヅナです。なんかまほらふさんに、草白さんに来たコメント返ししろって言われました。なんでわたしが……」
 ミヅナは見るからに嫌そうな態度で前説をするが、視聴者に伝わるにはまるで不十分だ。
 ミヅナにこの配信をするように言ったのはまほらふだが、その実態は『レトリック・プレイ・ヴァーチャルライヴ』に来たコメントへの返事をしつつ作品解説をしたいという作者の思惑である。
「それでアラヒトモと会話できるわたしが選ばれた? 帰っていい?」
 帰ってはいけないし、地の文に解説なしで返事もするんじゃない。
「ちぇ。まぁいいや。はやく終わらせよ」
 ミヅナは言われた事をさっさと片付けてしまおうと資料を手元に出した。やる気がない事に全力でやる気を出すのは……まぁ、完全にサボるよりは、まし、か。

・[まむー](はじまりゆらゆら)
「わん娘、おつ。てか、もうちょっと話題の膨らむコメントよこしなよ」
 ミヅナが雑にコメント返しをする。
 いくら作者の顔見知りが相手だとは言え、幾らなんでも扱いが酷過ぎる。
「これ以上、なにをしゃべれって?」
 もう何も言うまい。

・[あ、これもしや地の文さん=トモ?](初めての〔デスペナルティ〕)
「ついにばれちゃったね」
 特に隠していたつもりもないが。そもそも最初からEverLiveによる配信はVライバーごとに担当の人工知能が行っていると明言している。
「それな」
 アリス、またいらないオタク知識をミヅナに教えたんだな。
「でも、この人がはじめてコメントしてくれただけで、もっと早く気づいてる人はいたんじゃないかな」
 だからこそ、こうしてコメントで作者に気付いたよと伝えてくれるのは有り難く、そして嬉しいものだ。
「ぼっち?」
 やめなさい。

・[タゲ指定がないと無差別対象に効果出ると](〔詠唱〕募集)
「わたし、ゲームシステムのことわからないから、アラヒトモにまかせた」
 ミヅナが端から解説を放棄してこちらに丸投げしてくる。実際にプレイもしてなければ公式サイトも見てないから、何も知らなくても仕方ないではあるが。
 『タゲ指定』というのが何を指しているのかによって、YesともNoとも返事が変わるコメントだ。
 まず、RPOの〔魔術〕は『どこに向けて発動するか』という意味でのターゲット指定は出来る。その指定した場所は外れることはない。射程が届かなくて不発になる事はあるが。
 RPOの〔魔術〕には〔識別〕という性能数値がそれぞれに設定されていて、それが高ければ敵味方の判別をして、低ければ判別せずに効果が影響する。
 ここで問題になるのが、〔詠唱〕で例えば『敵』や『味方』のように対象を指定する文言を入れると〔識別〕の数値が高くなりやすい。この〔詠唱〕内容を指して『ターゲット指定』だと言っているのであれば、確かにその通りとなる。
「くぁぅ」
 ミヅナ、興味がないからって欠伸するんじゃない。

・[思考速度が速すぎて却って会話のテンポがずれたりするタイプかな?]
「草白さんに夢見すぎ」
 ミヅナがスパッと言い放つ。もう少し言い方があるだろう。
[草白さんはふだんはぽけぽけ、いざとなると性能が跳ね上がります]
 そう、そうやってきちんとコメントに返事となる言葉を喋ってくれたらいいのだ。
 カラーの脳の活性は実際、普段は平均よりも低く、危機感が募った時に一気に上昇している。
「ピンチの時に頭使うからいつもは休めてる?」
 まぁ、そういう考え方も出来る……のか?

 作者はこれからも『レトリック・プレイ・ヴァーチャル』そして『レトリック・プレイ・オンライン』へ寄せられたコメントへはこうして定期的に返事をしていくつもりらしいので、是非とも気軽にコメントしていただければ幸いだ。
「え、またやるの? しかも草白さんの分だけじゃなくて、他人のも? ……まほらふさんがやればいいじゃん」
 ミヅナ……お前って奴は本当に……。

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