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いい感じにローライト・テクニックが書けたんで読んでほしいです。

 同日夜、警察による聴取を終えた私は姉さんの家に帰ってきていた。時刻は既に深夜、23時を回ろうとしている。


 ガキン!と玄関の扉がバールによって強引に開けられた。金属の悲鳴のような音が家の中に響く。

 私は咄嗟に飛び起きると枕元のグロックに手を伸ばしてドットサイトのスイッチを入れた。私がいる部屋はこの家の一番奥。侵入者が来るまでに最低限の態勢を整える時間的猶予はある。

 ……いや、むしろ私から打って出るか?ベネリm4に手を伸ばしかけて別の考えが思い浮かぶ。とりあえず侵入者は足音や話し声から判断して最低でも3人。

 今家の全ての部屋は消灯されていて、でもアパートメントの共用廊下は常時点灯されているから侵入者はまだ暗さに目が慣れてないはず。それに官憲に突入されるはずもないから侵入者は間取りも知らない。

 ということはまだ玄関付近に固まっているはず。下手に散らばられるより一気呵成に仕留めた方が良い。

 1秒にも満たない時間での思考を終えると同時にコンパクトなチェストリグも装着し終えた。クラス3A、マグナム弾すら受け止める防弾プレートも装着されている。

 ちなみにコンパクト、とあるけど成人男性からしたらなんで私には普通のチェストリグと防弾プレートの組み合わせに感じる。

 ともかく、寝てたから暗闇に目が慣れてるし家の構造も把握してるから音を立てることもなく玄関につながる角に向かう。

 いる。音が聞こえる。歩みが遅いのは慎重というよりはまだ暗闇に目が順応してないからか。

 右足を前に、左足を後ろの半身の姿勢で角に差し掛かる。壁から少し離れて両手を前に突き出した状態、つまりは普通半身の射撃姿勢(アイソセレス スタンス)。構えた状態から右膝を少しだけ曲げて少しだけ前傾、銃口と目だけ、つまり相手からは最小の暴露面積で向こうを覗き込む。

 銃口、というよりその下のウェポンライトを角の向こうに突き出す。というのも角のこちら側でライトを照射すると一部照り返しで向こうにこちらの姿を晒してしまうのだ。

 ライトを照射。白のビームにも似た光線が照らし出すのは2人の侵入者。白人、黄色のバンダナを着用していて、確実に家族や知人ではない。

 ライトによって円形に照らされた侵入者の胴体。ライトが銃口の下に装着されている都合上、サイトを覗かなくてもおおよその照準が合っているのがわかる。

 照射されているのは下腹部、お腹の辺り。このまま撃てばおおよそ下腹部から胸のバイタルにかけて命中する。

 引き金を引いた。合計3発。暗闇を閃光が引き裂き私の網膜も焼く。ただでさえ鋭い銃声が室内という状況で反響し耳の奥の奥まで突き刺さる。

 最後の1発の発射と同時に反撃を避けるため角のこちらに引っ込みライトも消す。

 全てはライトの照射から1秒以内の出来事。

 どさりと角の向こうから倒れた音がする。悲鳴を上げないということは撃った奴は死んだか。

 応射が始まり角に、壁に弾が当たり破片が散る。さらに別の銃声も加わって銃撃は激しさを増す。発射サイクルからして両方ともハンドガンだろう。

 先程の位置から銃だけをだす盲撃《めくらう》ちで2発撃つ。銃の出てくる位置を印象付けさせた後、片膝立ちの姿勢を取り姿勢を低くし、フラッシュライトを取り出した。

 左足を前に、右足は畳む。フラッシュライトを左手に持ちたかく掲げる。

 フラッシュライトを壁の向こうに突き出し尾部のテールスイッチを押し照射、同時に上体を地面と水平になるまで倒すモディファイド・プローンでグロックを構えオプティクスで照準を付けた。

 侵入者はまた私がウェポンライトを点けて出てきたもんだと思ってライトへ向かって射撃する。

 私は光の筋をクイっと侵入者の顔に当たるよいに修正してやった。これで侵入者の視界は真っ白。

 そこへ躊躇無く射撃。ほとんど地面に水平な状態での射撃だけど私は慣れてるからしっかり狙える。ドットサイトの赤の光点に侵入者の頭を合わせ、初弾を頭に送り込んだ。

 一旦引っ込んでリロード。中指と薬指でリグのマガジンを抜き保持、親指と手のひらで装填されているマガジンを抜く。私の手の中で2本のマガジンが90°で交差してる。その状態で手首を90°回転させ、空手の正拳突きのような形で新しいマガジンを滑り込ませた。マガジンはリグに戻す。

 さて次はどう出るか。少なくともこの角からまた出るのは危険極まりないように思える。であれば。

 一度引き返して別の部屋から進むことにする。部屋に入る前にライトを天井に向けて一瞬照射。光の乱反射で一瞬部屋の中全体がぼんやりと浮かび上がる。誰もいない。そのまま中に入る。

 すぐに侵入者が室内に入ってきた。入口すぐ横のタンスに足をぶつけたのか悪態を吐いた。

 私は左に移動しつつ一瞬だけウェポンライトを照射、ライト自体は軽く右へ振った。移動方向とは反対側の右にライトを振ることで侵入者は私が右に移動したと勘違いするだろう。

 実際、射撃は私の遥か右に向けられた。発砲炎が侵入者の姿を闇の中に浮かび上がらせた。すかさずウェポンライトを照射、狙いを付けると4発鉛玉をぶち込んだ。

 室内が暗闇に戻る。反撃を避けるため移動、今撃った奴に確実に止めを刺すべく追加で眉間に2発撃った。

 安否を気遣う下卑た男の声が聞こえるから侵入者がまだ最低でも1人いるのが確定した。場所は部屋を出て廊下の先のリビングか。

 侵入者は今は叫ぶのを止めたが、恐怖に苛まれでもしたのか荒い息遣いが聞こえる。さてどうやって殺したもんか。リビングの間取りを頭の中に思い浮かべる。

 侵入者が恐怖に駆られたとしたなら身を隠すならソファ辺りか。

 問題はどうやってリビングに入るかだ。どうしても入口のスペースが限られる以上、そこを狙われたくないから何かで気を引いてその隙に入りたい。

 とりあえずリビングに接近。途上、既に撃った侵入者の股間、難しければ顔面を踏みつけて反応が無いのを確認する。まあ昏倒してるだけかもしれないから後から頭を撃つが。

 侵入者が持っていた銃、ガバメントだが、これを陽動に使うことにしよう。マガジンを抜きスライドを2回引いて薬室内からも抜弾する。一連の動作で多少音が出てしまうがこれはしょうがない。

 で、空になったガバメントを入口の対角線上の壁に思いっきり分投げた。

 ガバメントが壁に当たって硬い音を立てた刹那、私は部屋に飛び込んだ。

 予想した通り、ソファの奥で動きあり。ウェポンライトを照射、例によって一瞬私の進行方向とは逆にライトを振る。

 重い闇に浮かび上がったのはやはり侵入者。

 一々ライトを照射するのは侵入者の正確な位置を把握するため、それから万一にも家族や知人を撃たないためだ。ほら、ここ姉さんの家だからいないとは言い切れないんだよ。侵入者が来るまで私寝てたわけだし。
 
 閑話休題。侵入者は作戦通り音のした方、つまり私の反対側に注目していて私にはまるっきり無防備に背中を向けている。ライトの照射で初めて私が部屋の中にいることに気付いた。

 移動した先でまたウェポンライトを照射、照らし出された侵入者にドットサイトで照準を合わせそのまま撃ちこんだ。

 1発2発3発。合計3発の鉛玉を叩き込むと侵入者は何も言わずにその場に頽《くずお》れる。ライトを消して移動、もう一度ウェポンライトを照射し侵入者の頭部を視認して2発追加で叩き込み確実に殺した。

 一応これで終わり、だと思う。今撃ち殺したこいつは誰かいないのか、と3人の人名を叫んでたし。

 念の為全ての部屋をクリアリング、誰もいないのを確認すると玄関の近く、最初に射殺した2人の頭に各2発撃った。これで侵入者は全員排除した。
 

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