かつて私は、1人称の物語が欠けなかった。
そしてかなりのブランクの末、物書きを再開したあたりで今度は、1人称しか書けなくなった。
1人称しか書けない……はまぁ、多分に誇大ではあるが、ほとんどの作品は無意識のうちに1人称の作品になっていた。
なぜこんな変化が起きたのだろうか……と考えてみる。
そして気が付いた。
私の環境の変化の影響なのではないかと。
かつて……創作を始めた初期のころ。
私の周りにはRPGがあふれていた。
主人公たちは、みな自分とは別人でその人たちを私が操作して進めていく。
主人公はいつだって「アドル・クリスティン」だったり「アトルシャン」だったり。
そして当時読み漁っていた本も、主人公は「私」や「俺」ではなくて
「パーン」だったり「スパーク」だったり「フェン」だったりしていた。
つまりその時代に私の周囲に当たり前にあったのは三人称の環境だった。
そして恋をしたり、結婚をしたり、離婚をしたり(苦笑)
長い中断の時代をへて、再びこうして創作の世界に戻ってきた。
そのころには私が熱中するGAMEはRPGからノベル系に変化していた。
主人公は「俺」「私」「僕」であり1人称が当たり前の世界。
北原春希の視点で俺は……となったりする。
そして読む本もまた、1人称が主流であった。
化物語も主人公阿良々木暦が狂言回しの役割も兼ねており、1人称で進む。
つまり私の作品の変化は周辺環境の変化と密接に関係しているのではないか。
そう推測できたのである。
そう考えてふと思う。
もういちど三人称視点の作品を主力として書くことができるのかなと。