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ギガントアーム・スズカゼ 第八話 製作途中版⑦

この記事はギガントアーム・スズカゼ第八話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

 将を射んとする者はまず馬を射よ。地球にはそのような諺があるという。良い言葉だ。トーリスはスズカゼにとっての馬を、即ちウォルタールへ攻撃する腹積もりなのである。

「さぁて」

 砲台の照準調整をする合間、トーリスはレーダーへ目をやる。パドッサの第一陣を示す光点群がスズカゼをじわじわと包囲し始めており、後方では第二陣も程無く追いつこうとしている。後は先程のような接近戦に持ち込み、足を止めてしまえば。
 そうしたトーリスの思考は、しかし。
 唐突に爆発した数基の砲台によって、即座に中断した。

「なんだ?」

 驚きながらも、トーリスは淀みなくコンソールを操作。レーダー起動。索敵。新たに灯ったホロモニタに、答えは映し出された。

「グラウカタイプ、だと」

 トーリスの独白通り、敵はまったく別方向に陣取ったグラウカであった。ただし装備が違う。機体の色も違う。
 ライトブルーを基調とした機体色。左腕と左足には銀色の部位が増設されており、そこにはそれぞれパイルバンカーとラージライフルが接続されている。
 そのラージライフルが、火を噴く。射出された大口径弾丸は、唸りを上げて砲台群へと着弾。生じる爆発。またもや数基が失われる。

「ああ、成程」

 得心するミスカ。恐らくあれはウォルタールに元から搭載されていた機体だ。召喚武装の運用も本来はあのライトブルーグラウカで行う予定だったのだろう。それをアンカータイプの装備へ転用するとは、汎用性の高さに驚かされる。本格運用されれば旧型機や半壊機ですら結構な脅威となるだろう。
 加えて、その射撃のクセ。ラージライフルの構え方。トーリスには覚えがあった。

「スズカゼのパイロットが動かしているな?」

 実体ではあるまい。遠隔か、精神分体か。どちらにせよあのグラウカは捨て石だ。スズカゼと、ウォルタールが安全圏へ退避するための。実に鬱陶しい。だがパドッサが予定通りスズカゼの包囲を完成させてしまえば――。
 そう思考した矢先、トーリスは見た。レーダー、スズカゼを包囲するパドッサを示す光点の群れ。それが瞬く間に消えていく一部始終を。

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