• 現代ファンタジー
  • 異世界ファンタジー

ギガントアーム・スズカゼ 第八話 製作途中版④

この記事はギガントアーム・スズカゼ第八話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

「なっ、なんだ!?」

 声を上げる一郎。ミスカは我に返る。モニタを見やる。
 真正面、スズカゼが陣取った小高い丘の向こう。ザントイル国境の町へと続く一直線の道を、突如として遮るオレンジ色の巨壁。高層ビルに匹敵する高さを持ち、地平線の向こうまで長く果てしないそれこそ、ザントイルを覆う六角形を至近で見た風景であった。
 そのオレンジ色の壁面が、にわかに沸騰している。この六角形自体が巨大な魔力塊である事は、一目見た時から分かっていた。それを用いて魔法を発動したのだとすれば、成程こうもなろう。

「攻撃が来る! 回避行動を取れ加藤!」
「わ、かっ」

 一郎が言い終えるよりも早く、敵方は動いた。壁面の一部が変形し、戦艦クラスの砲台が姿を現したのだ。その数、実に十問。

「げえっ」

 動揺する口調とは裏腹、一郎の判断は早い。脚部パイルバンカーと左腕ラージライフルの送還を諦め、アーマーごと切り離す。同時にスラスター噴射で高速上昇。その五秒後、スズカゼが居た地点を巨大な爆炎が薙ぎ払った。壁から現れた砲台の洗礼である。

「あーっ武器が!」
「あんなのは試作品です! データは十分ですし幾らでも替えがききます! それよりも……」

 ホロモニタを呼び出すジット。地表を見下ろすスズカゼのカメラ映像。映りだすのは爆炎噴き上げる大地と、砲台を備えたオレンジ色の領域。その天面から、飛び出すは幾つもの光球。スズカゼ目掛けて飛来する球体群は、しかしある程度の距離を保って静止。ぎゅるぎゅると回転しながら、裏返るように折りたたまれていた部位を展開した。
 鋭角な嘴を備える頭。剣のように鋭い翼。燃え滾るような燐光を放つオレンジ色の体躯。
 それは魔力によって構成された巨鳥であり、明らかな敵意を以てスズカゼへと襲い掛かった。

「SiiiiiAaaaaaaaaッ!」
「な、なんだこいつら!?」
「パドッサ! ビーストというカテゴリにある魔法兵器だ!」

 一郎へ説明しつつ、ミスカはスズカゼを操作。切磋に放たれた鉄拳は、パドッサの翼撃をどうにか弾く。

「まるっきりモンスターじゃないか! 剣と魔法の世界かよ!?」
「地球から見れば、イーヴ・ラウスは確かにそうだろうな!」

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する