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ギガントアーム・スズカゼ 第八話 製作途中版③

この記事はギガントアーム・スズカゼ第八話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

「防がれた!?」

 スズカゼ内部。仮想空間に構築されたコクピット、兼加藤一郎の部屋にて。
 望遠映像に映るブランケイドの防御壁に、一郎は声を上げた。

「焦るな、想定内だ。とは言え……どうだ? ディナード四世殿」

 狼狽える一郎をなだめつつ、ミスカは背後のジットへ声をかける。

「ダメですね。とんでもなく固いです」

 先日と同じくちゃぶ台に座るジットの前には、宙に浮かぶ複数のホロモニタ。大小さまざまな大きさのそれらは、ブランケイドを筆頭として敵方の状況をつぶさに観察する目の群れだ。
 これもまた召喚武装のインターフェースである。名をロングサーチャー。現在スズカゼの右肩に召喚装着されたアーマーには、長距離観測及び弾道計算を補助するカメラとシステム類が組み込まれているのだ。
 そのロングサーチャーが冷徹に告げている。ブランケイドがまったくの無傷である事を。

「スズカゼと同等か、それ以上の防御魔法が常にかかっていると見ていいでしょう」
「射程のみを強化したのが裏目に出たか……」

 現在スズカゼの左腕に装着されている召喚武装、ラージライフルは確かにアクンドラ共和国の最新技術による兵器だ。しかし、これは地球で例えるなら戦車砲に該当する兵器でもある。有効射程は最大三キロ程。幾ら何でも一国の国境から中心部まで届く筈がない。
 その矛盾を解決するのが、今し方ミスカの言った射程の強化である。弾丸と銃身を魔法で強化する事で、通常ありえない射程を実現した訳だ。

「威力まで上げてしまえば、今度は弾道がブレたでしょう。調整期間が短すぎましたからねえ。仕方がないと言ってしまえばそれまで、なんですが……」
「ですが、どうしたの?」
「……いえ」

 何かが引っかかる。
 例え強化が無くとも、ラージライフルの大口径弾は相当な威力の筈。直撃したのがグラウカならば、手足の二、三本は軽く吹き飛んでお釣りが来る。自分達はそれを用いて奇襲を仕掛けた。スパイの目を欺き、出現タイミングまで待ち伏せした、完璧な不意打ちだった筈だ。
 それが、通じなかった。
 撃破出来ずとも、ある程度のダメージを期待していたのは事実だ。
 つまり相当に強力な防御魔法を、常に展開している。それは予測した通りだ。
 だが、だとすれば。
 それ程の魔力リソースを、一体どこから用意しているのだ?

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