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ギガントアーム・スズカゼ 第七話 製作途中版⑧

この記事はギガントアーム・スズカゼ第七話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

「勿論だ。使い方によるがな」
「一郎さんは覚えてますか? スズカゼの両手足に銀色の箇所があった事」
「あー」

 ジットの指摘に、一郎は思い返す。

「そういやあったね、日本刀形態だと刃だった部分」
「そこを構成しているのがハイブリッド・ミスリルです。非常に高い魔力の伝導性と貯留性を両立するこの特殊合金は、イーヴ・ラウスの魔法技術を大きく変えました」
「そう言われても地球人だから良く分からんのだけど」
「そうですね……十キロほどあれば、グラウカ一機を丸一日戦闘行動させられる程度には魔力を蓄えておけます」
「あ、確かになんか凄そう」
「そうだな。ハイブリッド・ミスリルの出現は、それまで大いにされていたクレストマジックの研究へ、更なる拍車をかけた」
「また知らない単語が出て来た」
「いや。見た事はあるし、使ってもいるぞ加藤」

 断定するミスカ。一郎は面食らった。

「? 身に覚えはございませんが?」
「かつては口頭で詠唱されていた呪文。それを魔力伝導性の高い金属に刻み、それへ魔力を流す事で同等の効果を得られる事が発見されたのが、今からおよそ百五十年前。以後様々な素材や方策が開発された訳だが、現状でその最高峰素材と言えるのが、ハイブリッド・ミスリルと言う訳だ」
「ふうん。魔力を流すだけで魔法が……使える?」

 言って、一郎は気付く。
 それはまさに自分がスズカゼを操縦した時の事、何より魔力による仮想空間に居る今この状況そのものではないか。

「そう言う事!?」
「そう言う事だ。さて加藤、ギガントアーム・スズカゼにはそのハイブリッド・ミスリルがどれだけ使われていると思う?」
「そりゃあ……」

 改めて思い返す一郎。たかだか十キロ程度でも普通のギガントアームなら十分な稼働を果たせるハイブリッド・ミスリル。
 スズカゼはその特殊素材が、両手足の一部を覆う程の量を使っている。

「……たくさん?」
「……。その通りだな。正確な回答に感謝する」

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