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ギガントアーム・スズカゼ 第六話 製作途中版⑥

この記事はギガントアーム・スズカゼ第六話の書き上がった最新分を掲載しているものです。
これまでの話は下記リンクから読めます。
https://kakuyomu.jp/works/16817139556247117561

◆ ◆ ◆

「だが、それだけではやはり理由にならない。わざわざ危険を冒す理由が分からない、が」
「が?」
「一つの前提を裏返せば、こうした矛盾全てに説明がつく」
「それは?」

 爆音。スズカゼの攻撃を新たな盾持ちのグラウカが防ぐ。別方向からの射撃を掻い潜りながら、ミスカAは新たな武装を呼び出す。

「ランバの周囲。あるいは、スズカゼのコクピット内。それが最も安全な場所だったからだ」

 まっすぐに、ミスカBはジットを見据えた。
 ジットは、ミスカBの双眸を真っ向から受け止めた。

「ティルジット・ディナード四世、アナタは暗殺を警戒しているのだ。臣下が居る平素の場よりも、単独で居られる戦場や発掘場の方が、少なくとも安心出来る故に」

 結論付けるミスカB。
 ジットは、程無く微笑を返した。

「素晴らしい、概ねその通りですよ。流石は僕が見込んだ戦士だ」
「痛み入る。最も書類上、僕は戦士でなくサラリーマンなんだがな」

 そんなミスカBの背後、ミスカAはスズカゼに新たな武器を装備させる。
 位置は左脚。右腕の時と同じように現れて装着された増加装甲には、巨大な杭打機が内蔵されていた。

「なにこれまたディバイダってヤツ!?」
「違う、パイルバンカーだ。あの盾持ちを殴る。接近するんだ加藤」
「分かった!」

 三方から浴びせられるグラウカの射撃を掻い潜り、あるいは腕部装甲で防御しながら突進するスズカゼ。待ち受けるは丸盾から防御フィールドを展開させるグラウカ。その後ろでは別のグラウカがアサルトライフルに給弾している。

「これ、でッ」

 その、二機の胸部を結ぶ直線上目掛けて。
 ミスカは、スズカゼに飛び蹴りを叩き込ませた。
 体重と推力が十全に乗った一撃であったが、それでもようやく盾持ちグラウカが揺らいだ程度。だがそれで良い。動きを止めるのが目的。ミスカは即座に二撃目、脚部パイルバンカーを叩き込む。
 ごう。
 強烈な貫通力と、魔法による伸長を加えられた一撃は、盾を貫通した上に二機のグラウカを過たず貫いた。
 他のグラウカ達の照星が狙うが、もう遅い。スズカゼは即座に逆の足で盾を蹴り、上空に跳躍。直後に二機のグラウカは同時に爆散した。

「あんなサラリーマン居りますかねえ」
「少なくとも、ここに一人な」

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