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『Symposion』について

この近況ノートは、作品のあとがき、解説のために使おうかと思います。
ネタバレも大いにありますので、作品本編未読の方で、ネタバレが嫌な方はご注意ください。



まず最初の作品『Symposion』について。

ギリシア神話との出会いは小学生の頃でした。

学校の図書室にあった、季節の星座とその神話について書かれた本を読んだことがきっかけ。
図書室ではいつもそのシリーズを読んでいました。

『Symposion』の第一話『ポムグラネートの誓い』は、ギリシア神話の本なら必ず載っているエピソードの一つ、“ペルセポネの略奪”を題材にしています。
図書室にあったギリシア神話の本にも一番最初に載っていたエピソードで、自分はこの話がとても好きなのでした。

……略奪婚の話が好きな小学生ってどうなんだろう、と自分で自分を振り返って思わないでもないですが。
悪役のような書かれ方をしていたハデスが、自分の心にはとてもかっこいい印象があり、純真でか弱げなペルセポネは、自分にとって理想のヒロインだったのです。

ただ、好きな話であったのですが、大きな不満もありました。

本には、冥府に連れ去られたペルセポネが、ハデスとどのように過ごしていたかが全く書かれていなかったのです。

原作の神話は、季節の由来を説明するための縁起譚ですので、ペルセポネ略奪後、物語の主役はデメテルに移って、地上での出来事しか書かれていません。
神話としてはそれで意味が通るのですが、恋物語として読んでいた自分としては、読後に不満が残ります。

地下でハデスとペルセポネはどう過ごしていたのか。
連れ去られたペルセポネは、ハデスと心通わせることはなかったのか。
ペルセポネは本当に、意味を知らずに石榴を食べたのか。
そもそもハデスはどうやってペルセポネを見初めたのか。

いろいろな疑問がわき、空想が広がり、想像力が目覚めて……。

思えば、これが自分にとって初めての妄想で、創作意欲のきっかけで、その後の作品の源だったのかと。

書かれてないなら書いてやれ、という思いで、出来上がったのがこの『ポムグラネートの誓い』です。

今もギリシア神話は大好きですし、ネタの宝庫でもあるので、まだまだ書いてみたい題材です。
冥府にはまだ、今作には登場していない住人もたくさんいます。
ハデスとペルセポネの新婚生活は、ただ甘々なだけではないでしょう。
ハデスの二人の弟、個性的な主神三兄弟にもそれぞれ魅力的な伴侶と、愉快ななれ初めの物語があります。

それらの物語も、続けて形にしていく予定です。

お目見えした際には、ぜひまた読みに来てくださいませ。

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