皆さま、ごきげんよう。宮条優樹でございます。
だいぶご無沙汰してしまいましたが、
新作『千代の夢』を公開いたしました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885286498この作品は、作中のとある一場面から広がって生まれたものです。
その一場面だけが随分昔に書き留めてあり、
いつか何かで使ってやろう、とだけ考えて眠らせていたのでした。
それが偶然、
図書館で見つけた、お雇い外国人について書かれた本を読んだことがきっかけで、
この『千代の夢』という物語となって完成しました。
はじめは、「異国の老貴族とメイド」というイメージだったものが、
お雇い外国人というキーワードによって、
「明治時代の英国紳士と日本人少女」の物語となりました。
しかしながら……
気軽に時代物というジャンルに首を突っ込んだら、
執筆の最初から最後まで、資料を山積みにする羽目になり。
そして、英語の台詞を書くために、
学生時代に使っていた辞書のほこりを払って引っ張り出すこととなり……。
「学生時代に真面目に勉強しておくんだった……主に、日本史と英語」
……と、後悔に気が遠くなってしまうことも、執筆中しばしばでした。
それ以外では、
「おじさまと少女」という、個人的な趣味感あふるる取り合わせの登場人物を書ききれて、
とてもとても満足しております。
明治時代のお雇い外国人を題材としていますが、
作中の登場人物で、実在の人物をモデルにしたということはありません。
けれども、資料をいろいろ読みあさっているときに、
海外から日本へとやってきて、
そのまま日本の女性と結婚して永住した、という人も少なからずいたようなので、
この物語のようなこともあったのかもしれないと空想しながら、
楽しんで書き上げました。
なので、読んでくださる方にも、楽しんでもらえればうれしいです。
そして、作中何か誤りがあれば、ご指摘いただければ幸いです。
最後に、執筆にあたっての参考文献を記載しておきます。
明治時代、とてもロマンに満ちた時代ですので、
また機会があれば別の物語も書いてみたいものです。
《参考文献》
『お雇い外国人』梅渓昇(講談社学術文庫)
『明治 お雇い外国人とその弟子たち』片野勧(新人物往来社)
『明治大正風俗語典』槌田満文(角川選書)
『絵が語る 知らなかった幕末明治のくらし辞典』本田豊(遊子館)
『明治 ものの流行辞典』湯本豪一(柏書房)
『図説 地図とあらすじでわかる! 明治と日本人』後藤寿一(青春新書)
『日本のファッション』城一夫、渡辺直樹(青幻舎)
『神奈川県の不思議辞典』小市和雄、望月浩明、錦昭江、石附敏行(新人物往来社)
『明治の東京写真』石黒敏章(角川学芸出版)
『明治の音 西洋人が聴いた近代日本』内藤高(中公新書)
『浅草公園 凌雲閣十二階 失われた〈高さ〉の歴史社会学』佐藤健一(弘文堂)
『イギリス紳士の幕末』山田勝(日本放送出版協会)
『世界歴史大系 イギリス史3』村岡健次、木畑洋一(山川出版)
『お菓子の図書館 チョコレートの歴史物語』サラ・モス、アレクサンダー・バデノック(原書房)