俺には生き方が分からない。たった一つの下らない事象。親友が事故に遭って死んだ、それだけのこと。幾十億と在る人命の一つが消え失せただけ。地球は変わらず自転を繰り返しながら太陽の周りを周回し、あらゆる生命を残酷なほど平等に運ぶ。けれど俺は今、あの瞬間に置き去られたような感覚にあった。数十億分の、たかが取るに足らない一程度の消失で、俺はどうも息苦しくて仕方がなかった。説明出来ないこの感情をいかに言い表すべきか、どんな言葉にして納得しようか。物書きを志す俺は、悔しいことにその本分を果たせないでいた。
……俺はこの経験に対して今でも一切の納得を得ていない。だが一つの真理というものを知った。というより、誰もが知っていたものを明確に理解させられた。
その真理というのは、生命はいつか終わるということだ。当然誰もが知る絶対にして不変の真理だが、俺はその今日かもしれない『いつか』を勝手に先延ばして先を先を見据えていた。俺はそれを人生の大局観とでも思い上がっていたが、誰が悪いわけでもなく、ただ唐突に理不尽に明日を失った親友を見て現実を叩きつけられた。
以前から俺にとって創作というのはある種真理の探求で、自分の抱えた矛盾をあの手この手で深掘ってその結論を得ようとしている部分があった。自分の書きたいこと、伝えたいことの表現もしたいが、そもそもその書きたいことというやつをハッキリさせるための行動も創作だった。
あの日から常に、一寸先の死というものが脳裏に居座り続けている。だからこそ常に最高の今を過ごしたい。でもそれが俺の望む生き方なのかは分からない。だからこそ俺には生き方が分からない。
……とかいう色々纏まらない思いを形にして、これからは創作としてぶつけていこうと思う。近況ノートなど誰も見ないと思うが、それでもそれをここに書き残すことが、ここに俺の新しいスタートラインを引くことになるのだろう。
果たして俺にとって最高の生き方というのは何なのか。
俺にとっての創作は、どうやら結局真理の探究に帰結するらしい。