月見里清流

昭和１５年、大陸での戦争が始まって既に３年。神宮司財閥の令嬢であるミエコは、私立ウルスラ高等女学校に通う”普通”のお転婆少女――のはずだった。だが夜の校舎で怪異に襲われたその時か…

旅先の安ホテルで音が鳴る。くぐもった破裂音と落下音。連日聞こえる音に怯えたある日、夢を見る。無惨に覚えるあの景色。無念混じりしあの音が、――今も、ほら。

敗戦後の東京、謎の米兵と女性に出会った瞬間、男の運命が変わる。戦火を生き延びた男は、謎の組織『神聖同盟』に招かれ怪異と戦うことに。彼が見た“眼”の正体とは？ 次から次へと現れる怪…

月明かり煌々と照る夜のフェリーにて、祖父よりある兵士の話を聞く。南方戦線に行くも帰るも同じ海の上。兵士の復讐は果たされるのか――。

戦前の装丁重々しく、されど中身は純情を謳った少女小説。年月の経るままに、褐色にくすんだ背表紙。古本屋で購入したモノだが、――本の間に挟まった紅葉と、秘められた想いは……。