慣れていない教師が発する未熟さが良い効果を齎すわけではないと思う。
教師が新たな気持ちで臨むときに醸し出される新鮮さが表に出たときに、未熟さがプラスに転じるのだと思う。
だからこそ、私はどのような仕事でも「初心、忘れるべからず」の精神を大事にして挑んできた。
やはり慣れてくると、要領を覚えるため効率よく仕事をこなすことはできるようになるが、その分、緊張感に欠けてくるため、ミスを連発するようになる。
これが自身の信用問題にもつながるということを経験してきた。
高校教師と並行して取り組んでいた、ツアーコンダクターの仕事は、海外渡航ともなれば、お客様の命を預かる業務も発生する、責任重大な仕事だった。
初めて渡航する国はそれこそ緊張感しかないため、下調べも120%の力で行うから、慣れていないための事務的な些細なミスは発生しても、行程や命にかかわる大きなミスにはつながりにくい。
しかし、何度も渡航したことがある国ともなれば、余裕も生まれるため予習に手をかけなくなる。しかしこれが命取りになるのだ。
発展途上国は特に、日々刻々と変化をしている。数カ月前に渡航した時と情勢が変わっていることなんてざらにある。
「以前はこのような状態でした」が通用しなくなる。前あった道がなくなっていることだってあるのだ。
私はツアーコンダクターの仕事を経験して、毎回の予習の大切さを改めて学んだ。
これはどのような仕事においても大切なこと。初心を忘れず、どのような業務にも通じる基本だと思う。