セシア「こんには、セシアです」
フェリー「よっす、フェリーだ」
セシア「紹介する前に出てきてしまいましたね。今日のゲストはフェリーさんです」
フェリー「ごめん、段取りとか読んでなかったんだ」
セシア「いえいえ、さほど問題ないので大丈夫ですよ。今回はタイタンタートルについての紹介になりますね」
フェリー「らしいな。任せとけ! オレはタイタンタートルとやり合った有名人だからな」
セシア「そのようですね。では軽く説明していただけますか」
フェリー「タイタンタートルはガムダリル森林を縄張りとしている大きな亀みたいな、トカゲみたいな、なんかよく分からない生物だ。背中に泥で出来た甲羅みたいなものを背負ってウロウロしてるんだが、それほど狂暴な性格じゃない。ただ、怒らせると凄い執着で地の果てまでも追ってくるおっかない奴で喧嘩を売ろうって連中は森ん中にもそう相違ねえ」
セシア「ありがとうございます。想像以上にまともな回答が帰ってきてびっくりですがまさにその通り」
フェリー「セシアさん、なんか凄い引っかかるんですけど……」
セシア「それでは今日はその甲羅について解説していこうと思います」
フェリー「もしもーし、セシアさん?」
セシア「タイタンタートルの背中の泥、今回は甲羅と表現しましょう。あの甲羅というのは鎧の役割を果たすというのは容易に想像できるでしょう。しかし、あの甲羅はただの泥ではないのです」
フェリー「実はうんこだった、とか?」
セシア「よくご存じでしたね」
フェリー「え、ほんとにうんこなのかよ!?」
セシア「普通に泥をかけたとしても、あれほど巨大な山にはなりません。普通であれば乾いた途端に崩れてしまいます。ですが、タイタンタートルの背中に付いている肛門から出る排泄物にはこれまで食べた木の繊維や鉱石など色々なものが混ざっており、接着剤のような効果を発揮するのです」
フェリー「背中に尻の穴って……自分からうんこかけるなんて想像できないな……」
(良かった、転生したのがフェンリルで。タイタンタートルだったら一生うんこ背負うはめになるとこだったぜ……)
セシア「その他にも甲羅には役割があります」
フェリー「そうなのか? 背中で畑でも作るのか?」
セシア「良い肥料にはなりますが、違います。その役割というのは子育てです」
フェリー「うんこで子育てするのか、タイタンタートルは!」
セシア「その認識で間違っていませんよ。タイタンタートルは泥の甲羅を大きくした後、ある一定の周期でその甲羅の中に卵を産みます。穴を掘ったりして卵を産み落とすより自分で背負ってしまった方が何倍も安全という事です。あれほどの大きさ、危険性があるタイタンタートルにちょっかいをかける生物もいませんし、尚更」
フェリー「自作のベビーカーみたいなもんか。確かにそりゃ安全だ」
セシア「孵化した赤ちゃんは泥に混じった植物の繊維を食べます。タイタンタートルの糞というのは接着剤でもあり、赤ちゃんの食事としても役割を果たすという訳です」
フェリー「なるほどなあ、一石二鳥の凄い甲羅って訳なんだな」
セシア「そんな甲羅を作るにも、何ヶ月、何年と掛かる訳ですので、壊されたら怒り狂うのも無理がないという訳です」
フェリー「……す、そ、そろそろ時間じゃないかなぁ!」
セシア「おっと、そんな時間でしたか」
フェリー(聞かなきゃ良かった……オレそんなの壊したのかよ。本当に申し訳ないわ)
セシア「では、次回もお楽しみに」
フェリー「ば、ばいばーい。……はぁ」