セシア「こんにちは、とうとうまた来てしまいましたね。この企画」
シスイ「らしいな。一回限りの没企画にならずに済んだって事で喜ぼうぜ」
セシア「そういえば、シスイさんは前回ゲストではありませんでしたか?」
シスイ「いや、そうなんだが訳あって今日もいるんだ」
セシア「そうなんですか。それで今日のゲストさんは誰なんでしょう」
カスミ「私だ」
セシア「!?」
シスイ「という訳で今日のゲストは自称天才ゴブリンのカスミちゃんだ」
カスミ「シスイさん。言葉が欠けています。すーぱーつよつよ天才ゴブリンのカスミです」
セシア「そうです。言葉が足りてません。冬場の葉が抜け落ちた木の如く足りてませんよ」
シスイ(カスミがいると彼女オタクになっちゃうから、ボク呼ばれたんだよな。コレ)
シスイ「まあ、自己紹介はこの辺りに。早速じゃあ専門家のカスミにゴブリンの生態について聞いてみようか。お願いできるかな、カスミ」
カスミ「良いでしょう。と言っても正確な情報を伝えるのであれば、専門家は私の模倣先であるチヨであって、私は彼女の真似をしているに過ぎませんけれど」
シスイ「らしいね。まあ、ボクが知っているゴブリンの知識としては、動物や人間の姿を真似して彷徨う植物っていうのが見解なんだけれど、なんでアイツ等は『ゴブリン』なんて呼ばれているんだ? 確か『小鬼』って意味なんだろう」
カスミ「ゴブリン。大陸の端の海域にある島国が原産の生物である彼等はその地域では『小鬼』という名称で呼ばれていたので私達の言葉に当てはめて『ゴブリン』と名付けられました。由来は諸説あるのですが一番有力なもので言うなら『村の子供の姿を真似して悪さをする小さな鬼の物語』というものから来ていると言われています。真似をして悪さをするなんて、真似した先の子供はよほどの悪ガキだったのでしょうね。この物語の話のオチというのも確かそういったものだった気がします」
セシア「『悪行他者に見られずとも鬼は見てる』悪い行いというものは、誰にも見られていないと自身では思っていても、自分の気付かない所で全て見られている。確かそういう意味合いの言葉でしたっけ」
シスイ「つまり昔話が名前の元になったっていう事か。けれど言うほどアレは鬼に見えるか? だって鹿とか熊とか色々な姿になるじゃないか、彼等。それに最初の姿はただの多肉植物だぜ?」
セシア「それはそうした鹿や熊を見ても真似をしているか判断できなかったからが理由でしょうね」
シスイ「真似をしていると判断できなかった? えーっと、つまりどういう事だ」
セシア「シスイさん、同じ種類、同じ大きさの熊が並んでいたとして、パッと見ただけでその違いが分かりますか?」
シスイ「……いや、自信ないな。よく見れば分かるかもしれないけれど」
セシア「要するにそういう事です。人であれば顔や姿の違いに気づけますが、他の動物であればその判断をするのは難しい為、他の生物を模倣したゴブリンを地域の人は『小鬼』と判断できず、人間の子供を真似するものだけを『小鬼』と呼ぶようになった訳です」
カスミ「そして鹿や熊を模倣したゴブリン達の事を人間は一種の病気であると考えた。体を植物の蔓にされてしまう病、あるいは生き物の血や肉を吸い取ってしまう化け物『吸血蔓』、こっちの地方での名称では『チュパカブラ』と。今でこそ溢れてますが昔は個体数が少なかったので伝説上の生き物なんて言われていたそうですけれど」
シスイ「そうか、ゴブリンは時代によっては未確認生命体であったという訳か」
カスミ「時代が違えば私も伝説のカカシという名前の豊穣の神様として崇め奉られていたという訳です」
シスイ「いや、それは今もあんまり変わってないと思うぞ。規模感の差くらいなもんで」
セシア「そろそろ時間ですかね。本当はもっと語りたかったのですが切り上げましょう」
カスミ「仕方ないですね。ムノウなシスイさんが考えた挨拶を聞くとしましょう」
シスイ「おいおい、無能なんて悪口を平気に使うんじゃないよ。例えボクでなかったとしても傷ついちゃうぜ」
カスミ「しかしシスイさん。農業において無農薬栽培というのは良い事ではないですか。必ずしもムノウという響きの言葉が悪い方向を指しているなんて一体誰が判断できるでしょうか?」
シスイ「確かに無農薬栽培っていうのは農家の人の手間や消費者に美味しいものを届けるという素晴らしい信念が込められた尊敬すべきものなのだけれど、今回のこの文脈からは絶対に善意なんてものは微塵も感じられないというか、明確な悪意が込められていたよ、この言葉は!!」
セシア「では、今回はこれで終わりです。次回も見てくださいね」
カスミ「今回の流れを見ると、次回から私もレギュラー入りかな」
セシア「是非是非。私からも進言します」
シスイ「いや、カスミは信仰されてるけれど、進行はできないから駄目だ」