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来年もよろしくお願いします

今年も一年間ありがとうございました。
無事コミカライズ2巻も発売され。
12月24日から小説の2章に該当する部分の連載が無事に始まりました°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

来年はいろいろお知らせもできたらいいなと思います。



今年の最後ということで、以下短編。





――それなんでそこに?――


 ニコル・マッカート。
 レーナ様御用達の恋愛小説は、流石人気作家ということもありレーナ様、アンナ様、ミリー様をはじめとして。
 フォルト様もそれ面白いぞなんて言ってくるし、ジーク様も読まれたと言っていたし。
 リオンも知っているっていうから、なんか僕だけ知らないってのはなんだか癪で。
 レーナ様からわざわざお借りして読んでみたんだけれど…………


『だーかーらー、さっさと会いに行って一言言ってやればいいじゃん』の連続で僕としては、これがいいの? って正直首をかしげたくなるけれど。

「上手くいきそうなのに、ちょっとしたすれ違いが大きなことになるから、つい最後まで読んでしまうんだ」
 とフォルト様がものすごく楽しそうにおっしゃられるから。
 レーナ様には、はっきりとはいえても。
 フォルト様は明らかにそういうこと言われると気にしちゃうタイプなのもわかっているから、僕は口を慎んだ。

 とにもかくにも、読むには読んだ。
 感想としては、これを言ってはいけない気がするけれど……
 内容はわかったから会話に出てきてもどの場面を言っているのかはわかるし。
 とりあえずこれ1冊がかなりお値段がする娯楽品ということもあって、万が一破損紛失なんかしたら大変だからレーナ様にとっとと返しちゃおうと思ってレーナ様の部屋に訪れたのが運のつきだった……



「もう、何この本。好きなら好きって言えば3日もかからず終わるじゃん!」
 フォルト様には言えなかった不満をいいながらレーナ様の部屋にはいった僕は……
 じーっと僕の顔を見るや否や、顔を見合わせた3人に嫌な予感を感じていた。
「「「い……」」」
「何?」
 3人の何とも言えない圧に思わず後ろにあとずさった。
「「「いた!!!!」」」
「はぁ? ちょっと何?」


「シオンこちらに、大丈夫です痛くなどありませんから」
 レーナ様が手をわきわきとさせて、どこの官能小説に出てくる悪役だよというセリフをつぶやきながらにじり寄ってくる。
「えっ、何? 何なの?」
 本を両手で抱えたまま後ろにジリジリと後退した僕の横を、めちゃくちゃいい顔をしたミリー様が。
「ちょうど少し大きめの予備がありますから急いで部屋からとってまいりますね」
 とサッと横切って部屋から出て行った。


 予備? は? なんなわけ?


 よくわからないけれど、何かここにいてはよろしくないことだけはわかる。
 さっさと本をおいて、この部屋を後にしたいのに、レーナ様とアンナ様が何を考えているのか両手を広げて僕を逃がさないように囲む。


「何事なの? 何をしてほしいかくらい言ってよ、ニコニコしながら通せんぼされると怖いんだけど」
 そう僕が質問した時だ。
「とってまいりました!」
 ミリー様がそういって戻ってきてひらりと取り出したのは、ハンガーにかけられた女性物の王立魔法学園の制服。
 ゴクリと生唾を思わず飲み込み、ウソだと思いたいけれど、楽しそうにしている3人に言葉をかけた。
「……冗談でしょう?」


「ほんの少しでいいのです」
 にこやかに笑顔を浮かべて、ミリー様から受け取った制服を片手ににじり寄るレーナ様に顔が引きつる。
 これは、もうさっさと逃げるに限る。
 本をテーブルにほおって、それからもう窓から出よう!
「嫌」
 と言って駆け出すよりも早く僕の身体をグッと言葉がしばる。
「シオン逃げないで」
 レーナ様やりやがったなと睨むも後の祭り……
 身体が盟約で縛られ動かない。
 なんでこんなくだらないことに盟約使うの……と思うけれど、もうどうにもならない。

「では、ミリーはアンナの準備を手伝ってあげて」
「わかりましたわ」
 盟約の縛りなんとかならないかとあがいてみるものの、そこはもうどうにもならず。


 レーナ様の部屋へと連れ込まれた僕は、抵抗むなしくこのままだと、こちらの意志などお構いなしに服を引っぺがされる。
 制服は僕にとってはすごく効果なものだし、下手に抵抗して少し破れでもしたら大ごと。
 ここは大人しく従うほうがマシと思った僕はそれでもこのままやられっぱなしは癪でやり返したのだけれど。


 まってまってまってまって。
 3人の思惑は、どうやら恋愛小説を読んで理想のヒロインとヒーローのやり取りをみたくなったのだと思う。
 アンナ様がどこのイケメンだよってくらいかっこよくなっていて、それに絡むことになったんだけど。



 僕の頭の中は1つの瓶で一杯だった。
 小さな瓶に詰められたの白い白い砂。アンバー大人気のお土産であり。
 僕がレーナ様に送った誕生日プレゼントだった。


 アンバー大人気のお土産である白い砂は、レーナ様の家のプライベートビーチに山のようにある。
 なんで、それがわざわざここに持ってこられているのか……


 というより待って、砂が入ったままということは、中に入れたの気が付いていない?
 正直レーナ様にとって、僕があげたプレゼントはいらないもので。沢山もらったプレゼントと一緒にすぐ処分されると思ったのに。
 なんでそこに置いておくの? なんなの?
 中に入ってるの知ったうえで、僕がこれみて気まずい反応するの楽しんでいるの?


 ごっこ遊びは完全にうわの空で。
 そればっかり考えちゃって、もう好きにして状態になった投げやりな僕に、それはもう好き勝手な注文が飛び交った。

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