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『歴めろ。』第三十一話のうんちくコーナー

●飯塚のうんちく

今回、全く出番ないよな。。。。とほほです。

本編に出てきた歌である、

 『世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし』

 を詠った在原業平と菅原道真はマブダチで、しょっちゅう色町に繰り出していたそうです。

 道真は、公的な場面や公卿の宴等では、酒を飲んでも全く乱れないことで有名ですが、相手によってはかなり酒癖が悪かったそうですよ。

 色町で酔って詠った漢詩が残ってます。

 紈質何爲不勝衣 |紈《しらぎぬ》なす|質《かたち》の|何爲《なにせ》むとてぞ衣に|勝《た》へざる
 謾言春色滿腰圍 謾《いつわ》りて|言《い》へらく春の色の腰の|圍《めぐ》りに|満《み》てりと
 残粧自嬾開珠匣 残粧自ずからに|珠匣《しゅこう》を開くにすら|嬾《ものう》し
 寸歩還愁出粉闈 寸歩|還《かえ》りて|粉闈《ふんい》を|出《い》でむことをだに|愁《うれ》ふ
 嬌眼曾波風欲亂 |嬌《こ》びたる眼は波を|曾《かさ》ねて風|亂《みだ》れむとす
 舞身廻雪霽猶飛 舞へる身は雪を廻らして|霽《は》れてもなほし飛べり
 花間日暮笙歌斷 花の|間《ひま》に日暮れて|笙《しょう》の歌断えぬ
 遙望微雲洞裏歸 遙かに微かなる雲を望みて洞の裏に帰る


――舞姫の白絹のような肌は、衣の重さが堪えがたいように乱れて見える。
 そして、春の色のように桃白い肌を晒して「私の腰のまわりに<あなたの愛が>満ちているのです」と、見えすいたうそを言う。
 情事の後の舞姫は、化粧もくずれかけ、小物を|蔵《しま》う珠の|手筥《てばこ》を手で開けることすら|煩《わずら》い、私も僅かな距離の宿舎に門を出て帰ってゆくのは悲しい気分です。
未練の色を見せる瞳は、風のように乱れて、次々に立つ波のように潤み、
しなやかな、その身体は、晴れても尚舞い落ちる雪のように輝かしく美しい。
花の間に日は落ち、笙の音も絶え<華やかな時間は終わり、管弦の音も聞こえなくなり>
舞姫たちは早朝、遙かな山にかかる薄雲を望み見つつ、奥深い宿へと帰る。

 かなりの意訳です。。。。
 申し訳ありません。

 ですが、在原業平は『少女マンガ』的な世界の歌が得意なように、菅原道真も『官能小説』的な漢詩が残っているのです。。。。

二人の、好きな女性のタイプが見えてきそうなエピソードですよね。

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