魚倉 温

「Lonlely」新刊拝読いたしました。

生臭い無機質とでもいうべき、矛盾しているのにこれしかないとしか言いようのない空気が全編に満ち、全てが現実であり全てが幻想であるかのような、淡く儚い作品世界を堅固に構築しておりました。

素晴らしい作品をありがとうございました。

誰にも悪意がないとも、誰もが悪意があるとも思え、更には、邪悪よりも怠惰や臆病、無知や面倒くさがりが世界や人間関係を壊していく様子に戦慄しました。

そんな中でも桜は美しく、腹の中の子供に両親が夢を描く姿は悲しいほどにあたたかく、あえて言うなら平凡な幸せがつまっており、月並みな言葉ですが胸が一杯になりました。

繰り返しになりますが、心に残る読書体験をありがとうございました。これからも応援しております。