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落ちて生く

果てに浮かぶ、君のシルエット

隘路のような憂愁と幻想を兼ね備える黒髪

柊里の白雪のガラスじみた肌

君の瞼の海に沈んでいる、ふたつの針

針は君の感情を瞳に刻んで、僕に教えてくれる

けど、針はほこりまみれで

針は咽び泣きを繰り返して

針は軋んだ音を立ててしまっていて

無理に回る君の針

無理に働く君の針

無理に話す君の針

僕がこの手で温める

けど、どうせ崩れてしまう

君の心はクラゲ月のように淡く、どこまでも美しく儚いから

君に何をしてあげられる?

君の何を見てあげられる?

君の何になれる?

……分からない。分からない。分からない。……

遠退いたり、近づいたりを繰り返す僕達

否定したり、頷いたりを繰り返す僕達

感謝したり、罵倒したりを繰り返す僕達

僕は君の針に触れて

君は僕の針に触れて

それ以外の針?

は?

そんなのクソ喰らえ!

僕にとっては、君の針は1つ

君にとっても、僕の針は1つ

ねぇ、あなたの針を私に食べさせて

君は、透明みたいに、妖艶に笑う

いずれ1つ

どうせ1つ

そうか1つ

僕達の針は、虹色へと変わっていく

永遠に続く生の中で

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