平安ファンタジー小説「錦濤宮物語 女武人ノ宮仕え或ハ近衛大将ノ大詐術」の「二十七 翠令、佳卓の昔の恋を聞く(一)」を投稿しました!
https://kakuyomu.jp/works/16816927860647624393/episodes/16816927860881188872前回から、佳卓が「燕弓」という変わった楽器を奏しているという設定が出てきます。
西の大陸の大王朝の「燕」(史実では「唐」とか「宋」に該当する王朝です)。その大陸から渡来してきた使節が持ち込んだ楽器です。
とはいえ、燕においても一般的な物ではなく、燕にとっても遠い異国のものが原型で、そこから持ち主の使節が自分の気に入るように改造したという設定です(ですから「燕弓」と呼ばれていても、燕との交易の場面をよく知る翠令も見たことがない珍しい楽器なのです……)。
モデルとしているのは、中国の楽器の「二胡」です。
さて、拙作のこの場面で、「二胡」をイメージした楽器を登場させるにあたって調べて見ると……。
私は不勉強で「二胡」と「胡弓」を同じものと思っていたのですが、別の楽器なのだそうですね……。
関係者にとっては本当に全くの別物という感じだそうで……。
「二胡」と「胡弓」のキーワードでググって来たサイト様を一つ例に挙げておきます。
「二胡奏者・太田久遠 website」
https://nikohisa.com/erhu/(いくつか見た中で通信が保護されてるっぽいので選びました。他のサイト様でも似たようなご説明です)。
Wikipediaで調べていただいてもいいのですが、私が調べていた時には、実際に演奏に携わっている人の「全く違う!」という口吻が印象的でした。
ですので、演奏に携わっている人のサイトを一つを例に挙げます。
「二胡」は中国の楽器であり、「胡弓」は日本で生み出されてきた楽器だそうです。
「二胡」については六角形か八角形の小箱であり、材質から人間の声に近い音が出せ、唐代より少し前ごろに異国からもたらされたらしいとされています。
「胡弓」は使われ方の曖昧な言葉ですが、日本で生み出された楽器であり、形状や材質、演奏法など上記の「二胡」とは異なるものです。
Wikipedia「胡弓」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%A1%E5%BC%93じゃあ、拙作はどっちをイメージしているかというと、それは「二胡」なんですよ。
私は拙作で自分が見聞きした事物を登場させるようにしております。
で。「二胡」については「二胡」を使ったクラシックコンサートに行ったことがあるのです。
20年近く前にオランダに住んでいた時に、アムステルダムでコンセルトヘボウ管弦楽団のコンサートに行きました。
その際のメインの曲目の一つが、中国人作曲家による「二胡」の協奏曲だったのです。
家人の取ってくれたチケットでは、ほぼ最前列の座席でした。
当時はヨーロッパで東洋人の姿を見かけることが珍しく、舞台の中央前方で「二胡」を演奏する人にとっても、客席に座る私たち日本人夫婦が目立ったようです。
演奏前のひととき、舞台上の「二胡」奏者さんとばっちり視線が合いました。とっても大きな笑みを送ってくださいましたよ。
当時の私は20年後にこんな小説を書くとは全く想定しておりませんでしたので……。ちゃんと観察しておりませんでしたが……。音色がどこか哀愁のあるものだったという記憶はあります。
ともかく、私が見たことがあるということから、拙作の佳卓の「燕弓」のモデルは「二胡」なのです。
さて。今回の写真は、その佳卓が「燕弓」を演奏していた、大極殿前の龍尾檀の高欄の角っこです。
前回の近況ノートでも書きましたように、京都の平安神宮は、平安京の大極殿など朝堂院を八分の五で復元したものです。
龍尾檀と高欄もしっかり存在しています。
↓ここに佳卓が腰かけていたんです~。楽器を抱えて半跏で座る佳卓と、同じ目線で立つ翠令の姿をご想像頂けましたら幸いです。
これからも、佳卓の燕弓で事態が動く場面が2カ所ほどあります。どうか最後までご愛読くださいますよう。