買い物帰り、交差点を渡ろうと信号待ちしていたとこまでは覚えている。
ただし、なんとなく。
次の瞬間気づくと、救急車の中にいた。
救急隊員の方が必死で僕の名を呼び、どうやら僕自身パニック状態だったようだ。……と、隊員同士の会話を小耳に挟んだ。
病院で言われたのは低血糖。
ようは、ご飯を食べるお金がなくて。ようやく入った賃金で食料を買い出しに行って。
食べられもせず、道半ばで倒れたらしい。
そこからだろうか、どうやら頭を打ったようで記憶力が著しく落ちた。
ついでに過去の記憶も虫食いみたいな空白が増えた。
まだ若いし、死神が出てくる小説ばかり書いているけれど……
迎えが来るのは割と近そうだ。死ぬまでに本でも出してみたいな。ほんとうに