夜の散歩がてら近所の喫煙所に向かった。
木に囲まれて吸うと美味いんだよなぁ。
目的地に着くと二つの人影とモゾモゾとした何かがいる。
なんだァ?あれ。
近づくにつれ、正体がはっきりとしてくる。
ああーん、ワンちゃんじゃあないか。
犬種の好みが多少はあるものの、基本的にワンちゃんは大好きなのだ。
目で愛でながら通り過ぎようとすると、話しかけられた。
ボソボソとして聞き取れないため、挨拶されたと推測して
「こんばんはー」
と声をかけた。
「行って。」
「は?」
いきなり立ち去るよう言われても意味が分からない。少し不愛想に返事をしてしまった。
「咬むから。」
「あぁ、咬むんスか。おっけー。」
それならしょうがねぇな。僕は煙草を取り出して灰皿に歩を進めようとした。
「だから行って!」
いきなりヒステリックに言われて少し頭にきてしまった。
煙草を取り出す数秒も待てないのか。
「うるっせぇな、行くっつってんだろ馬鹿!」
声を荒げる事に慣れてないので思った以上に声がデカくなってしまって申し訳なくなった。
ワン!ワン!ワン!
下品な吠え方だ。耳が不快になる。
だからプードルやチワワは大っ嫌いなんだ。ゴミ畜生がぶっ飛ばすぞ。
しかしここで謝るのも少しおかしいので帰りのあいさつ代わりに小さな舌打ちを一つ残し、灰皿に向かった。
ここに残ってもイライラが募るだけなので半分吸って後は捨ててしまった。
その帰り道、このことを投稿しようと携帯を開こうとしたら液晶が機能していない事に気づいた。
電源を落とす時の「カチャン…」という音は聞こえるのだが、肝心の画面は点かない。犬にキレた罰なのだろうか。
謝るから許して!(テノヒラクルー