昨日のNHK「欲望の資本主義 2025 成長神話の虚実」から、ルネ・ジラールが出てきたのでメモ。
『欲望の三角形』
この欲望の三角形というのは、ルネ・ジラールという思想家の説で、自分が何かを欲望するのは、他人がそれを欲望するからだという原理。例えば夏目漱石の『こころ』で、「先生」が「お嬢さん」に恋するのは、Kが彼女に恋していると知らされたから。ランキング上位になったとたん、その商品にみんなが群がる現象と同じ。(好書好日さんの記事から抜粋)
われわれが観察した一切の欲望の中では、単に、対象と主体があるだけではなかった。第三の項、一度だけわたしが優越性を与えようと試みることができたように思う競争相手が存在していたのである。(……)、。競争相手が何らかの対象を欲望することによって、主体に、望ましいものとしてその対象を指示するのである。
ルネ・ジラールによると、私たちの欲望は自発的なものではないし、対象にもとづいたものでもない。そうではなく、その対象を欲するもしくは所有する第三者の存在に欲望はもとづいている。つまり、隣人がそれを欲するからこそ、私もそれを欲するのである。ジラール『暴力と聖なるもの』古田幸男訳、法政大学出版局、2012年、228‐229頁)
「資本主義」のハナシとは大きくそれますが、この「欲望の三角形」、恋愛モノを書かれる書き手さまにはよく知られたものなのかも。
恋愛関係において、男女の愛のおいてその愛の対象への欲望が、同じ対象を欲望する第三の人間の存在をまって初めて生じるといったような。
googleさんが分かりやすい。
欲望の三角形は、次のような3つの要素から構成されています。
・欲望の対象(例:おもちゃ、成功、地位など)
・欲望する主体(例:自分自身)
・モデル(模倣の対象)(例:他者、友人、社会的に尊敬される人物など)
ジラールの理論では、人間の本質は他人を模倣することであり、そうすることで初めて欲望の対象が現れるとされています。また、人間が模倣しているのは常に他人の欲望であるため、他人は必然的にその人の前に立ちはだかるライバルとなり、本人、欲望の対象、ライバルという三角関係が生れるとされています。
ジラールはいわゆるミメーシス(模倣=擬態)の理論を考案し、欲望のミメーシスな性格の発見によって新しい人類学の基礎を築いた人。
この「ミメーシス」(イデアの模造品)は、哲学の基礎、プラトンさんの「イデア」から入ると分かりよい。
まあ、何か関係無さそうなものを見ても、「書くこと」に繋げてしまうのは、これはもう病気なのかもしれませんな。
でも、ふつうに「欲望の資本主義 」は、私たちがいま生きている世界を、俯瞰してみるためのよい教材だと思って、良く観てたりします。いろんな偉い学者さまの知見を分かりやすく紹介してくれるこれは、NHKさんに受信料払ってるのには見合うかと(あとは知らん)。
SFでも現代ドラマでも、世界観の設定の役にたつのではないかと思ったり。
やくしまるえつこ なので。
やくしまるえつこメトロオーケストラ『僕の存在証明』Official Visualizer/ Yakushimaru Etsuko Metro Orchestra - "Existence of Us"
https://www.youtube.com/watch?v=EPebm2XM0-Uでは。