10月半ばになりましたね。あっという間すぎます。
カクヨムコンは既存作を恋愛FT、新作をライト文芸に出そうかなと計画中です。
というわけで新作書いているところなのですが……案の定、煮詰まってきました。私は人に見せながら書くのが向いているので、ひたすら書き溜めがしんどいのかもな、と思ってほんのちょっとだけ公開してみることにしました。
ちなみに美少年と健気ヒロインの依存関係を描きたいなーという話です。ジャンルが何なのかは悩ましいところ。
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カラント国立博物館には世界で最も美しい屍体がある。
それはひとりの少年の亡骸で、けして腐敗することもなく生前のまま保たれているという。透き通るような青白い肌に、丁寧に一本一本紡いだように美しい金の糸を思わせる巻き毛。淡く桃色に色づいた唇を見ただけでは決して彼が死んでいるとは思わないだろう。いまにも穏やかな寝息が聞こえてきそうだとさえ思うかもしれない。
ただ彼はこの博物館に安置されて五十年、一度も目覚めることはなかった。時を忘れたかのように昏々と眠り続ける少年の魂はそこにはなく、ただの抜け殻だとされて久しい。敷き詰められた紅薔薇の褥に横たわり、いまにもその瞼を開きそうな少年の姿は訪れた者たちを魅了してやまない――……。