私は店先で、叫んでしまう。
「すいません。たまご10個ください」
「毎度」
カツカツの活動資金で運営していた教会の食糧事情が一気に解決したのよ。ははは
「トゥーリィ、なんか羽振りがが良いねえ?、どうしたんだいを」
私は手に頬を預け、
「いや、何ね。小金が工面できたんです」
店の主人が狼狽し出す。
「トゥーリぃさん、まさか路地裏で体を…」
「ヴァカ言うんじゃないよ」
「違うんです。もう」
私は、顔の前で手を振って否定するんだけれど。主人は、お上さんに叩かれていました。
「いえっ、ねえ。本部から臨時に資金が届きまして、今回、ホスティアを豪華にしてお分けしようかと」
店のご主人も叩かれた頭を手でカキカキ、
「ごめんなぁ。勘違いしちまって。次のはいくからね。楽しみにしてるよ」
「ごめんねぇ。この唐変木が変なこと、言っちまって。楽しみにしてるよ」
「はーい」
卵を受け取り、店を出る。
「イヤー カタルシス<浄化>失敗したら、資金もらえたなんて言えないよね」
嬉しすぎて、つい1人、ごちるてしまう。
次は粉屋さんだ。
粉屋といっても、穀物を擦ったものだけを売るだけではなく、加工、焼いたものを売ることもやる。まあ、パン屋さんだ。乳も取り扱ってくる。オーブンもある。今回は非常に助かる御店なんです。
「ただいまぁ。すいません。遅くなりまして」
店舗側でなく裏に周り、勝手口から入っていく。
「お願いしていること、どうですか? 」
ここのご主人のミュラーさんには、二つほどお願いして卵を買いに外に出たんです。
「あぁ、こっちの寸胴の方はドローっとなって来てるよ」
「ありがとうございます、根気のいる作業なんで、では、ボール借りられますか?」
寸胴の中のクリーム色の粘土みたいなのをボウルに移し、ヘラで捏ねていく。出てくる上澄み液を捨てて、捏ねて捏ねていく。
「ああ、ここで塩を入れて固まった後のものをパンに塗ると美味しいですよ」
「えっそうなのかい。良いこと教えてもらった」
「良いですよ。是非試してください」
店主は聞いてくる。
「この黄色いのはなんなんだい?」
「東の乾燥地帯を渡る遊牧民が作るものでバターっていいます」
「これがバターなんだね。聞いたことあるよ」
ミュラーさんがなんか言いづらそうにしている。
「ところでなぁ。トゥーリぃ。いきなり、どうしたんだ。今までこんな金のかかる材料なんか、買えなかったよなぁ」
私は、バターを捏ねる手を休めずに、
「ええ。予算がカツカツで大変できたけど、余裕ができたんです」
「て、いうとあれかい? 路地裏で体を…」
「aho抜かしなやあなぁ」
店舗の方から奥方が飛んできて、ミュラーさんを蹴飛ばしている。
「いえっ、ねえ。本部から臨時に資金が届きまして、今回、ホスティアを豪華にしてお分けしようかと」
ミュラーさんも蹴られたところをスリスリとさすりながら、
「ごめんなぁ。勘違いしちまって。次のはいくからね。楽しみにしてるよ」
「ごめんねぇ。この糠ろくが変なこと、言いやがって。楽しみにしてるよ」
「はーい」
作業は続けているんだけど、心はズタボロ。
私って、どう思われてるんだろ。とほほ。