絵画は元々見たとおりにものを描くという役割もになっていたように思う。
でもそれは、写真が発明されるとともに意味を失っていき、いつしか目の前のものを写し取るのではなく、絵として独自の表現をめざすようになった。
小説は元々目の前でおこったことをそのまま書くという役割もになっていたように思う。
ただ小説の場合は、映画というより効率よく事件を伝える手段が発明された後も、その役割を失わなかった。
もちろん、ジョイスやバロウズのように、小説にしかできない表現をめざした作家もいるが、結果的にそういうひとは消えていった。
なんでだろうなあと、思う。
小説は、物語を伝えるものではなく、言葉を使って芸術作品をつくるものでも、なさそうな気もする。