これから話すのは、遥か昔のおとぎ話。
全ての始まりはそう――何もない無の中に、一つの光が生まれた事から。
その光に釣られる様に新たな光がまた生まれる。
そうして世界は色付き、時を刻んで繁栄していった。
――これまで様々な冒険と出会いがあった。
時を操るセシリアは無を扱う“彼”と出会い、前へ進みだす事が出来た。
そしてそんなセシリアの想いは、ある少女に勇気を与えた。
時を覗く探偵は、虚ろな状態でとある少年と出会った。
その出会いは二人の運命を変え、モルダーという新たな出会いまでも引き起こした。
そんな探偵は様々な場所へと赴き、そこで人が前へと進みだす為の“きっかけ”を与えた。
――出会いもあれば、辛い別れもあった。
セシリアは過去の出来事で母親を亡くしていた。
セシリアの母は運命を捻じ曲げられ、目の前で大切な者を亡くした。
アタエという少女も、命を託されて生きていた。
――先が見えない程の暗闇に包まれた事もあった。
ミランダは希望の見えない絶望の中で生きていた。
セシリアは自身の秘密を知り、自身と過去について思い悩んだ。
セシリアを救った“彼”は自身の存在に嫌悪感を抱いていた。
アタエは自身の過去を知り、果ての無い絶望に陥っていた。
――それでも、私達は恐れずに前へと進み続けた。
ミランダは少しの希望を胸に、その想いを未来へと繋げた。
“彼”は城へと戻り、囚われたセシリアを救った。
セシリアは自身の過去と自分自身を受け入れ、立ち向かう決心をした。
アタエは過去と向き合い、想いを受け継いで進む事を決意した。
探偵はどんな困難でも、仲間を信じて人を前へと導いた。
――それは託された想いがあったから。
“彼”はフィリップから想いを受け継ぎ、セシリアの元へ現れた。
セシリアはフィリップやその想いを受け継ぐ“彼”、母から想いを受け継いで前へと進む。
アタエは自身の吸収した少女の願いを受け継ぎ、生きていく事を決心した。
――そこに繋がりがあったから。
セシリアは“彼”と出会ったからこそ、前へと進むきっかけを得た。
アタエはセシリアから得た勇気があったからこそ立ち向かえた。
セシリアやアタエが居たから、“彼”には守るべきものが出来た。
探偵は助手が居たからこそ、人を導く術を身に着けた。
少年は探偵が居たからこそ、狭い世界から飛び出すことが出来た。
――私達はこれからも前へと進み続ける。
――どれだけ深い暗闇が待っていても。
【刹那の光は、どんなことがあろうと、その道を照らし続ける】
――どれだけ辛い事や別れが待ち受けていても。
【どんなに離れていても、そこに繋がりがあれば時空を超えてでも繋がれる】
――その先に、必ず道があると信じて。
時は繁栄と成長。色は唯一無二の光である。
三つの魔法から紡がれる幾多の物語たち。
私がこれから語る物語に、君達は何を見出すのだろう。
だが、これから始まる旅の前に、一つ覚えておいて欲しい。
これは現実でも異世界でもない――
――【夢】のような物語だという事を。
さぁ、始めよう。これは、遥か昔のおとぎ話である。