ごきげんよう。
笑神に愛される人生を送っている鳥尾巻です。
今朝、近況ノートを急ぎ投稿して、式典に出かける準備を始めました。
腹筋を最大限に引き締めながら、アフリカオオコノハズクのように細くなることを祈りつつ、なんとか礼服のスカートを制覇。
次なる課題はジャケットの前ボタン3つです。腹部2つをクリアしたワタクシは、己の大胸筋を甘く見ていました。
3番めのボタンを「ふん!」と気合を入れながら留めた瞬間、飾りボタンは弾け飛び、部屋の隅に転がって行きました。
危惧した通りのことが実際に起きてしまったのです。
何ごともギリギリでしか行動できないワタクシは、遅刻が確定したことを悟り、「ひぎえぇぇ」と叫びながらボタンを縫い付けました。
弾け飛んだのが腹部のボタンではなかったことで、一応なけなしのプライドは守られました。
もうこうなったら開き直るしかありません。
帰りにボタンが弾け飛ぶ心配をしなくてもいいように、着替えとストールをバッグの底に忍ばせます。
準備万端で電車に乗り、座ると腹部がヤバめなので、席はがら空きにも関わらず、気取った素振りで立っていました。
会場に着いたワタクシは、スリッパを忘れたことに気づきます。
ストールに気を取られ、すっかり失念していました。
「すみません……スリッパを忘れたので貸していただけませんか……」
親切な受付の先生は、困ったように笑いながら「ああ、ちょっと今切らしてるので、私が履いているものでよければ……」と、仰ってくださいました。
そして先生は急に凛々しい顔をして膝をつき「温めておきました」と、床にスリッパを置きました。
これはかの有名な太閤立志伝の一コマ!
しかしヘタレなワタクシは、そこで信長公のモノマネも出来ず、若干噛みながら「あ、あ、ありがとうごぜぇます」と言って、少し生温かいスリッパを履いて会場に入りました。
席に案内してくださる若い女の先生に「お子さんの科は?」と聞かれ「え、えーと……分かりません」「クラスは?」「わ、分かりません」というやり取りを繰り返した後、恐る恐る息子の名前を告げました。
「ああ!彼ですね」
どうやら息子は学校の有名人だったようで、その場にいた先生方が全員好意的に受け止めてくれました。
生徒会副会長で、校長先生から何か特別賞を頂いたり、地区のナンチャラ機械技術賞も受賞していたことを今日初めて知ったアホな親です。
案内された席に座り、天然の腹筋コルセットを駆使しながら、膝にストールを掛けました。
まったく冷え性でもないのに、ストールを掛けたのは、腹筋コルセットが機能しなくなった時の為の安全策です。
式典の間中、腹筋を締めたり緩めたり、ずいぶん運動になったのではないかと思います。
校長先生の話が長くて退屈なので、目の前の父兄のまばらな毛髪が、何の模様に見えるかずっと考えていました。
そして閃いたのです。
そうだ、ミッ◯ーマウスだわ!
一度そう思うと、もうそれにしか見えません。
笑ってはいけないところで笑ってしまうのはワタクシの悪い癖です。
卒業生の答辞がポエミーだな、と無意識に文章の分析をしつつ、式は粛々と進んでいきます。
スクリーンに投影した数々の思い出写真をバックに語る彼女はなかなかの朗読上手です。
しかし、音響の手違いか、音楽が大音量で流れ、彼女の名文もよく聞き取れなかったのが残念です。
色々アクシデントは(私の中で一方的に)ありましたが、素敵な卒業式でありました。
クラスのみんなで集まって写真を撮ってあげる時に、あまりにもグダグダだったので、短気を起こして立ち位置からポーズまで仕切ってしまったことをお詫びしておきます。
息子が「財布忘れた」と言うので、ポケットに札をねじ込んで「少ないがご祝儀だ。友達と別れを惜しんできな」と、1人家路についたワタクシ。
途中、コンビニに立ち寄り、着替えてから、2駅分歩いて帰りました。
二重顎は顎まで隠れるマスクに隠し、ストールを胸の前でVラインに合わせ、ストライプのスカートで縦長ライン、などと、どこかのファッション誌で齧ったような浅い知識で、少しでも痩せて見えるようなポーズを取りつつ、モデルウォークです。(不審者)
少しはダイエットできたか、と、ほくそ笑むワタクシを、末っ子が「ごま団子あげる」と出迎えてくれました。(食べました)
報告終わり(長い)