銀座にある高級店に強盗が押し入った。そこで盗まれた高級品たち。それを海外のオークションハウスで発見したのが小さな島国の日本人。
連日の全国ニュースで大々的に強盗に入られ盗難品がごっそり、警視庁は犯人グループを追跡中という報道が繰り返しされていた。
そこで私にも回ってきた盗難品の一覧リスト。かなりの数でお店の被害額も相当でした。そこで私は一覧の品物の特徴を覚えておき、探しました。特に海外の大手オークションハウスの出品。
報道も収まって数か月がたったある日、一つの物品に目が留まりました。
私「オークションハウスのキュレーターが見逃し、超高額で出品されている。出品者は犯人ではない……これは善意の第三者だなぁ、堂々と売りに出しているんだから掴まされたんだろう」と。
私は盗難品の特徴と外見が酷似していることを根拠にオークションハウスとお店に通報、後に新宿署の捜査とインターポール、鑑定等々の調査の結果、無事に銀座店の盗品であることが分かりました。
TV報道のメインは新宿署の警察官が初めて海外へ出張……みたいなものでしたね。私は外務省とインターポールの間に入ってやり取り。
すでにメインの報道ではなく、三面記事程度になっていた頃なので、結果「イタリアマフィア系の国際強盗団」と雑誌等でコラムのように記事になりました。
通称ピンクパンサー。その後も国際的に活躍した強盗団です。
で、私の自宅にはお店からサクランボのお礼、常務さんから頂きました。
私が取材を受けたりして表に出ることはなく、膨大な盗難品の特徴と外見を覚える努力は、発見できて良かったですね、という言葉に集約されました。
ただ、その業界の方々や海外のオークションハウス関係者に賛辞をいただきました。
『キュレーターが見逃したのに只の趣味人が発見したこと、コレクターたちのじっくり購入検討よりも早く発見して入札・落札よりも先に通報したこと、しかも欧州アメリカよりも先に日本という小さな島国に住む人が見つけたこと、名前は……』
日本でよりも海外での扱いが良かったですね。
研究もそうです。すごい努力と生活すら犠牲にして成果を上げても、数行で紹介されて終わってしまう。論文なんか誰も読まない。書いた側もそのまま放置。記事になるとしても理屈を説明するやり取りの方がずっと多いです(それでも理解できない記者さんが多かった)。
だから私は、他の方々で数行紹介であっても「この人は頑張っているのが透けて見える」と感じ入ります。