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『ポジネガ少年』解題

 久々に書くオリジナル作品が遅々として進まぬ故、解題でお茶を濁そうと思う。前回と口調が違うのは解題であることを意識した故である。

 初めて短歌を作るにも関わらず連作短歌に手を出したのは、一首のみを厳選して評価してもらおうという潔さとは無縁の性質によるもの。二十首もあれば一首くらい出来の良いものも作れるのではないかという甘さがあったのだ。
今でも連作短歌の正解はよく分かっていない。とりあえずテーマがあればよかろうと思い、少年の短歌を作ることを決意した。
 何故「少年」をテーマにしたかと言えば、自分が少年なるものに魅入られているからに他ならない。少年なるものとは何を指すのか、何故少年に魅入られているのかはまた別の機会に書くとしよう。
 タイトルを『ポジネガ少年』としたのは、少年のポジの部分とネガの部分どちらにも惹かれているため、どちらかを選ぶことは忍び難かった故。今思うとポジだけにしておいた方が良かったような気がしないでもない。やはり長野まゆみや稲垣足穂に見られる、鉱石や天体を愛し彼等自身からもそういった硬質な美しさを感じられる少年像の方が煌びやかで、目を引きそうな気がする。
 しかし自分はそういった少年のポジだけではなく、ネガの方も書かずにはいられなかった。自分の場合、少年のネガ像形成には小説だけでなく『ライチ光クラブ』などの漫画や筋肉少女帯などの楽曲の中で日の当たらぬ青春を送る少年達が関わっている。そうした少年にもまた鬱屈した歪んだ美しさがあるのだ。
 随分長々と書いてしまった。個々の短歌の説明に興味のある方はおられるだろうか。ひとつ言い訳しておくと、蝶の刺青の歌は寺山修司の作品に夢の中で腿の付け根に蝶の刺青があらわれる少年の話があったからであり、本歌取りのようなものである。決してやましいものではない。おそらく。

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