お世話になります。テノシカと申します。
『幼馴染をBSSされた先の未来』完結しました。
短い間でしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
本ページはそのあとがき的なものとなります。
未読の方は、ネタバレを含むので本編を先に読んでいただければと思います。
また、作者の自我丸出しで赤裸々に作品に言及するし、自分語りで気持ちよくなってるし、作品の解釈に一部言及するような内容もあるので、作品の世界観や読後感をぶち壊すようなあとがきが苦手な方もブラウザバックください。
本ページのトピックは以下の通りです。
- 本作を書き始めたきっかけ
- 小川美月
- IF
- コメントピックアップ
- まとめとか今後とか
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《 本作を書き始めたきっかけ 》
本作を書き始めたのは、他の「BSS(NTR)された幼馴染と再構築する系」作品をWEBで読んで、ちょっと思うところがあったのが始まりでした。
一言で言えば、その内容が私的に全く納得できないものだったんですよね。
それで他の色々な再構築系作品を読み漁ったんですけど、非常に残念なことに、そこでも私が納得できる作品が全く無かったんです。私が性格悪くて極端な考え方ってのが大きいと思いますし、探し方も悪いのかもしれませんが。
NTR・BSSって構造的に読むだけで大きなストレスを抱えますし、だからこそ納得させてもらえる作品を探そうとするし、それでざまぁ系とかにも手を出してみるも余計にストレス溜まっちゃったりするし……などという悪循環なサイクルに陥ってました。
もうこのモヤモヤを解消する手段が見つからず、どうしてくれよう……と考えていた時に、天啓。
じゃあ「自分で書くか」と。
そんな経緯で生まれたのが本作品であります。
つまり、最初この作品で本当にやりたかったことは、"再構築系作品をざまぁする"という、読者様の需要ガン無視の私利私欲のアンチテーゼのためなのでした。
なので作品を執筆するにあたって「両片思い中の幼馴染が間男(教師)に靡く」「主人公は拗らせてDTを貫く」「幼馴染は過ちを後悔して自罰的で主人公に縋る」「10年後に再会」「再会後に即復縁(1週間前後でスピード入籍など)」といったBSS再構築系の中でもテンプレな展開を踏襲させていただきました。あくまで私が読んできた作品での印象なので、実態は違うのかもしれませんが、そこはご了承いただければ。なぜかこんな設定のBSS再構築作品が多い気がするんですよね。
つまり、1〜2話はただのテンプレ世界観説明で、私が本当に書きたかったのは3〜4話ということになります。
本作を書くモチベーションはそんな浅ましい願望だけだったんで、当初は佐藤亮介視点の4話のみで完結する予定でした。
それでも、4話公開時点の読者様からのコメントで「納得した」「リアリティーがある」といった反応をいただけたので、勝った!!と。実はもうここでこの作品当初の目的はほとんど達成できてたんですね。
なので佐藤亮介編を全て公開し終えた時点で、この作品は予定通りに一度「完結済み」状態にしました。
しかしいただいた一部のコメントなどを見ていると、「美月のことが誤解されてるっぽい……?」と感じるようになったのです。
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《 小川美月 》
小説的なものを書くのは人生で初めてだったんですが、書いているうちにどんどんと内容や構想が変わっていくことに自分でも驚きましたね。
中でも特にそれが顕著だったのが、小川美月という幼馴染ヒロインです。
構想最初期の小川美月は、作品の発端が発端ですので、とにかく"ざまぁ"されて終わるような存在でした。
具体的には、結婚後ヒステリーを起こして亮介を攻めまくり、浮気には全く気付けず裏でバカにされる始末。間女に子供ができたことを知らされショックで精神崩壊、唯一信じてた男性である亮介に裏切られ完全な男性不信に陥り独り身のまま生涯を終える……とまぁこんな感じ。
流行りのざまぁ系に比重を置くならまぁこんな感じだろうと、かなり安易な考えでこのような設定にしていたんですけど……
ここで大変な問題が発生しました。
それは、「書いてて全く面白くねぇ!」ということです。
10年間思い焦がれていた相手と結婚できて極端なヒステリーになるか?というと違和感あるし……いや、現実は小説よりも奇なりですけど、物語としての納得感は別だと思うので。自分自身が全く感情移入できず、筆が進まない進まない……
というわけで色々こねくり回してたら、とんでもなく健気で家庭的で病的に一途でしっかりものな美人とかいう亮介にとってSSSSSR優良物件が出来上がってしまいました。ちょっと言葉足らずで若い時に失敗しただけの。
しかし美月の最大の不幸は、作者が「「「純愛過激派」」」だったことです。
NTRは当然死罪、BSSもやっぱりとってもダメなことなので、もちろん酷い目に遭ってもらうことに。
そしたらなんか、考え方によってはむしろ当初よりも不憫で可哀想なことになってました。
それにいくら純愛過激派の私でも、美月には同情できる部分があると思ってましてねぇ。
もし男性である私が美月の立場だったとして、「思春期にドスケベ爆乳美人教師にそのぽってり唇でブチュキス」されたら、どれだけいい関係の女子がいたとしても99.9%くらいの可能性で堕ちちゃうんじゃないかなぁと。
まぁ男女で性に対する考え方は異なると思うので多少は違うかもしれませんが、それでも他人を理解しようとするならこういう考え方をするしかないわけで。
なお、これはあくまでBSSの話で、NTRは別ですね。NTRは無条件死罪です(過激派)。つまり私に恋人がいた場合、ドスケベ爆乳美人教師とブチュキスしながら死ぬことになります。
そんな感じで執筆を進めているうちに、いつの間にか小川美月というキャラクターに結構な愛着が湧いちゃってまして。
彼女が読者に誤解されたままで終わらせるのはなんか可哀想だな、ってことで完結状態から連載を再開、小川美月視点の公開に至ったのです。
その結果としては、作者的には大成功だったと思っています。
第4話の末路だけを見れば、当初の構想通り「唯一信じてた亮介に裏切られ独り身で生涯を終える」というのは変わらず、なかなかなざまぁENDであるとも言えるでしょう。
でも頂戴したコメントは「切ない」「悲しい」といったものがほとんどで、ここでもまた私は勝利してしまった……と。
叩かれがちなBSSシタ側の女性に対して上記のようなコメントをいただけたということが、私の中で本当に嬉しかったんですよね。不倫はサレではありますが。
ただ作者も美月視点の第4話執筆中はなかなか胸にくるものがありましてねぇ。
それにこの作品も、私が思っていたよりも本当に多くの方に読まれて驚きましたし、ハッピーエンドを望まれる声もあったので。
本作の構想初期から自分の頭の中にあった、ハッピーエンド展開を解放するに至ったんです。
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《 IF 》
ここからはもう完全に私の書きたいことを書くフェーズ。
自分が最高に納得できる再構築を書いてやろうと。
そして、せっかくなら再構築系だけでなくNTRやBSS、ざまぁ系も"ざまぁ"してやろうと。
その結果、各方面に対して色んな問題提起ができたと思いますし、割と綺麗に終わらせることができたと自負してるので、なかなか気に入っている章でもあります。
ぶっちゃけ、私の中でこれ以上の再構築シナリオは無いかなぁと。なので今後はもうNTRやBSSは読まなくていいかなと思えるくらいになりました。やっと成仏できる。
ちなみに、応援コメントでこの『IF』という章題にご意見をいただいておったのですが、私の中ではここは『IF』でしかあり得なかったんですね。
第4話までで大体の目的は達成できてましたし、コメントで返信した通り「もし後日談があるならば、とか後日談の一つの可能性、と言うニュアンスでのIF」とはその通りなんですけども。
せっかくなので明言してしまうと、この章は亮介と美月が『もしも』を連呼している通り、『IF』という言葉や考え方もここでのテーマの一つにしているので、"IF(もしも)というテーマが章題になってるだけの正史"としても捉えられるようにしたつもりです。伝わるかな?これをコメントで返信しちゃうとネタバレっぽくなるんで避けてた次第なのでした。
なのでこの章を正史にしたい方はそういう捉え方をしてもらえればと。
あと他に理由を述べるとすれば、個人的に、亮介と美月の間に子供ができるのはなんとなく解釈不一致なんですよねぇ。
ここは作者も言語化が難しいんですが、紬と3人で暮らすのがすごいしっくり来るというか。
でもどうせなら究極にハッピーエンドにしてあげようと思った次第なので、私は二人に悠斗を授けました。
そういう意味でもこの章は『IF』以外に考えられなかったです。
ちなみに前回の近況ノートで「他のIF展開を思いついた」と書いてますが、あれは嘘でございます。
もともとハッピーエンドにするって作品説明欄とかに書いちゃってたんですけど、「ネタバレしちゃってたら展開が読めてドキドキ具合が減るじゃん!」ということであのような案内をしてしまいました。他の展開などというそんな『もしも』の世界線は存在しません。申し訳ありません。でも後悔はしてません。
今後作品を描くなら、ネタバレ的な言及は避けようって思いましたね。
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《 コメントピックアップ 》
いつも応援コメント本当にありがとうございます。
個人的にWEB小説は応援コメントも一つの醍醐味だと思ってるので、本当に嬉しいです。執筆中何度も励まされました。
また本作の場合、私がそうなるように仕向けているとはいえ、本当に人それぞれ感じ方が違ってて非常に面白いな〜と。
私の価値観では思いもよらなかったようなご意見もあってとても参考になりましたし、やっぱりNTR・BSS幼馴染ざまぁの影響力はすごいんだな……という印象も受けましたね。
ただ応援コメント欄ってなかなか難しくて、1話毎の終わりの欄にあって読者様はすぐにそこを見ることができるので、コメントに詳しく返信し過ぎると読後感とかその解釈に影響を与えちゃうとか色々考えてしまうんですね。逆に全く返信しないってのもなんか難しいというか。
なのでできるだけ簡素で端的な返信をするようにしていました。
ただそれだと物足りないという方もいらっしゃるかもと思いましたので、ここで印象に残ったコメントをいくつかピックアップしながら改めて返信させていただきます。
>美人でバツイチ、面倒見のよい、姉さん女房くらいの人を選ぶべき。あからさま過ぎてコンプレックスも発生しないしハッピーでしょ。
こちら、亮介視点の第3話でいただいたコメントです。
たしかこれ亮介視点の4話を公開したあたりで書き込まれまして、このコメントを最初に見た時もう仰天しましてね。わかりますでしょうか?
なんとこれ、IF編の美月まんまなんですよ。
このコメントを頂いた時にはすでにIF編の構想があったので、「コ、コメントでネタバレされた〜!?というか伏線みたいになっとる〜!?」と。こんなことあるんですねぇ。
改めてコメントありがとうございました。
>お互いに失敗してしまった者同士、より深まった愛情で繋がれる未来があればいいなと感じました。
こちら、美月視点の第4話でいただいたコメントです。
お褒めの言葉の中でいただいたもので、こういった意見は再構築系作品でもよく見られる気がするのですが、実は私はこれと全く違う考えの持ち主でして。
コメント主様にそういった意図がないのは分かってるし言葉尻を捕らえるようで大変申し訳ないのですが、私は非常に性格が悪いので、「失敗して愛情が深まるのなら、浮気すればするほど愛情が深まるってこと?ならば世の中のカップルはみんな1回は浮気すべきってこと?」なんて考えてしまうんですね。
なので二人の間に深まっているのは、『愛情』ではなく『罪』だと思うのです。
それらの違いとして、能動的なものか義務的なものかだと考えます。
『愛情』は「見返りなど不要でただ相手に何かしてあげたい」という気持ちだろうし、『罪』は「相手に何かしてあげなければならない」という気持ちなんじゃないかと。
失敗してしまった後は、純粋な『愛情』という気持ちには絶対戻れないだろうし、パートナーは自分の贖罪のための材料にしかなり得ないなんて思っちゃうのです。私がほとんどの再構築系作品で納得できなかった理由はこの辺が大きそうですね。シタ側は離れてあげるのが一番の贖罪であり優しさではないかと。
こんな考えなので、美月の「私の命を、あなたの贖罪のために使ってください」という言葉には、「あなたの命を、私の贖罪のために使わせてください」というルビが隠されていると思いながら書きました。亮介もそれを理解したからこそ、彼女の背中に腕を回したのです。腰ではなく。
ただ、二人は同じだけの『罪』をお互い犯したからこそ、義務が無くなり最後には『愛情』にまで昇華できたという考え方もありそうですし、コメント主様もそれを意図されていたのかもしれません。
しかしそれでも、「それは罪を忘れてしまうことと同義でそれこそ罪深いのでは」というのが個人的な考えで、やっぱり私は純粋な『愛情』を注ぎ合いながら生きていたいと思っちゃうので、これは本当に価値観の問題でしょうね。『罪』で縛り合った関係がいいという人もいるでしょうし、本作はまさにそれですから。
まぁ、そもそも『愛情』や『罪』という言葉の定義さえも人それぞれで、上記全て的外れの可能性もありますから、私の考えが正解だと押し付けるつもりは決してない、ということはお伝えさせてください。
あくまで純愛過激派の戯言として受け取ってもらえれば。
改めてコメントいただきありがとうございました。
>主人公はもう少ししっかりしてほしい
>亮介君の自己肯定感があまりにも低いのは両親の所為なのでしょうか?
これはIF編でいただいたコメントです。
ここまで触れてこなかった佐藤亮介についてですね。
この佐藤亮介というキャラクターは、巷の再構築系作品などの設定からほとんど外れていない、テンプレ通りのキャラクターというつもりで私は作りました。(繰り返しですが、あくまで私が読んできた作品での印象の話なので実態は違うかもしれません)
そして実は私は、この佐藤亮介というキャラクターが大嫌いなのです。
そもそも彼は、ただ1回の失恋で10年もDTを拗らせ、その間に大きな成功体験も積んでいない、積もうともしないような男でして。
それがしっかりできるか?自己肯定感なんて上がるか?というのが私の考えです。
それに行動や発言がとにかく軽率に見えてしまって、いまいち共感できないんですねぇ。
だからこそ私は亮介をざまぁの対象であるシタ側に堕としましたし、その上で思う存分ボコボコにさせていただきました。主人公だからって容赦しませんよと。
死罪にしちゃうと物語終わっちゃうので残念ながらそこまではできませんでしたが、NTRやBSSで子供連れ去り&婚費地獄に堕とされた主人公ってどれだけいるんでしょう?まぁこれで彼も、現代日本において男性が軽率に伴侶を選ぶことの意味を身を以て知ってくれたんじゃないでしょうか。
裕子や間男が巷のざまぁ系のようにあまり重い処遇になっていないのはこの辺の事情もあります。
ただ、私は美月から亮介以外で幸せになる術を奪っていたので、美月がハッピーエンドを迎えるなら亮介以外ではあり得なかったんですけどね。なので亮介には美月の対となる存在として頑張ってもらい、最後には美月が一番欲しかったものや言葉をあげてくれたんじゃないでしょうか。
というわけで、上記のコメントに回答するなら「そういうテンプレのキャラクターだから」となりそうです。
改めてコメントいただきありがとうございました。
>亮介君が倒れた際の両親の言葉
>こうなるくらいなら言ってくれれば助けたのに
>自ら突き離しておいて、最悪の一歩手前になって出る言葉が自己弁護なのは親としてどうなのかなぁと思ってしまいました。
先の亮介の質問に合わせていただいてたコメントです。
これはNTRやBSSのざまぁ系でシタ側の女性が親から軽率に絶縁されがちな気がしたので、それを踏襲したものですね。
シタ側となってしまった亮介にもそれを味わってもらいたかったというだけになります。
あと何気にこの「こうなるくらいなら言ってくれれば助けたのに」という一文は、皮肉っぽくなるよう地味にこだわって言い回しを考えてた部分なので、まさか拾っていただけると思わず、ちょっと感動しました。
改めてコメントいただきありがとうございました。
>あー…そういえば一番最初の時は…ここは男性には絶対にわからない感覚ですよね
>ここに来て原罪を突きつけられる描写が書かれるとは思っていなかったのでびっくりしました。
IFの佐藤亮介第10話でいただいたコメントです。
NTRやBSSなどの特にざまぁ系の作品って、「妊娠中絶が安易に書かれすぎてないかなぁ」と感じてたんですよね。
これまで何度か述べたように、この作品は様々な方面へのアンチテーゼのつもりで執筆していたので、だからこそ妊娠中絶というテーマに向き合うことは私の中で外せませんでした。
ここはあえて最後の方まで意図的に隠していたので、「そういえば」という言葉は私的に狙い通りだったので嬉しかったです。
ただそのせいか、上記の風潮を象徴するかのようなコメントもいくつかいただきまして、「これでもダメだったか……」と自身の表現力の無さを痛感し悲しくなったこともありました。
しかしそこで上記のコメントがあったので、「伝わってる人もいるんだ」と救われたという意味でも、印象的なコメントだったのです。
改めてコメントいただきありがとうございました。
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《 まとめとか今後とか 》
あれこれ語ってきましたが、まとめに入ります。
本作の内容については恐らく、それぞれでかなり賛否両論あるかと思います。
作品の意図もそうですし、それだけ重いテーマを扱っておりますので。
ただそれでも、何の因果か本作は本当に想像以上に多くの方に読まれまして、そんな中でも最後に「よかった」「最高のハッピーエンド」といったお言葉をいただけたので、本当に嬉しかったです。
処女作にしてはまぁうまくやれたんじゃないかと、今は自分を褒めておきたいと思います。
あとはそうですね、今これを読んでいただいてるあなたが、他のNTR・BSS・ざまぁ・再構築系作品を読んだ時に、少しでもこの作品のことが頭によぎるようなことがあれば、それはもう創作者冥利に尽きますね。また成仏してしまいそうです。
そして、今後について。
正直、当初の創作モチベーションは全て消化してしまったんですが、今回WEB小説を書く喜びも知れたましたし、色々と学べたこともあったので、今後また何か書くかもしれません。
アイディア自体はいくつかあるんですけど、書くならもっとライトなテーマがいいなぁとかぼんやり思ってます。あともうちょっと長めの作品にしてもいいかな、とか。
まぁでも、いつになるかも全く分かりませんし、あまり期待せずにお待ちいただければ幸いです。
改めて、『幼馴染をBSSされた先の未来』に最後までお付き合いいただき、本当にありがとうござました。
それでは。