冒頭の語りの部分にイノシシの解体作業をする描写を追加しました。
以下追加した部分。
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問題解決の立役者として白羽の矢が立った男が仕事をしていた。
畑に出たイノシシの処理を頼まれたのだ。
処理と言っても討伐ではなく解体だ。イノシシは、すでに農家の怒りに触れて斧で頭をかち割られていた。
男はイノシシの足を縛り近場にあった太い木の枝から吊るす。そして、袋からナイフを取り出し首に切込みを入れた。
すると首から血が溢れでる。これは、血抜きという肉の臭みを取る大事な作業だ。
イノシシは木の根元に掘られた穴に血の池を作る。
その頃には近くにある牧場から血の匂いを嗅ぎつけた牧羊犬が集まってきて、ソワソワとしている。
ある程度血が抜けたところで、男がイノシシの腹をナイフで縦に切り開く。とび出てきたイノシシの内臓を手早くナイフで切り離すと集まってきた牧羊犬に投げ与える。
イヌ科の動物は、内容物がある腸や胃袋は避けるが、その他の臓器は好物と言っても良い。
犬が食べない部分は血の池に放り込む。後で埋めて木の養分にするためだ。
内臓の抜き取りが終わると、男は皮を剥いでいく。ももから足先へナイフを入れ、足の先をぐるりと一周すると体の重さで皮がずれる。そのずれたところに縦にナイフを入れ、皮と肉を切り離していく。
その処理をもう片方の足にもして、下半身の皮をはぎ終わると、上半身は力任せに引き剥がす。頭に穴はあるものの頭部までついた見事な一枚毛皮が取れた。
皮剥が終わったイノシシは、首を落とされると、肉屋で見かける姿に変わった。
男は、内臓と頭を埋めると解体が終わったことを依頼主に知らせる。そして、報酬代わりの酒を二本もらって、呼び出されていたギルドへと向かった。