橘 春

みのりと過ごした十七歳の夏。

優香はいつもしょうもない嘘をつく。 けれど、嘘でいいとあんずは思う。優香には幸せになってほしい。優香の未来に自分はいない。

『 「お前は？　夜子の何？」 「夜子の」 　言おうとしていた続きが、言えなかった。言葉が喉で詰まり、僕はその言葉の定義を考える。仮にこの男が彼氏だとすると、僕は何になるのだろう。…

夏の短編集です。 「スイカ」……「スイカの種をほじくる行為が何に似ているか」を、好きな子と議論する話 「なにもしない日」……なにもしない林の話 「思い出は美しいから」……モトカレ…

わたしと優吾は幼馴染だ。これまでも、きっと、これからも。

「ほら、大抵の人って、手をグーにして殴るじゃん。じゃんけんするみたいに。それって、愛がこもっているからなんだよ」 友愛と恋情と執着が交錯する話です。