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失われた色、灯し続ける思い。

一回目の世界は上手くいっていた…順調だった。それなのに、突然終わりを迎えてしまった。

二回目の世界は一回目よりも早く終わりを迎えてしまった…やり方を間違えてしまったのだろうか…。

三回目も、そして四回目も…一回目ほど上手くいかない…。

何度やってみても世界は滅んでしまう。一回目のことがまるで嘘だったみたいに…。

試しに一回目と同じように作ってみた、それなのに一回目よりも早く世界は壊れてしまった。

一回目の記録をたどると、ある地点から異質な出来事が起こっていることを発見した。それはわたしの設計にはないものだった。

それ以降の世界で異質な出来事が早い段階から、一回目で見られたより前の時点から発生していた。恐らくはそれが原因だろう…。

しかし、それをこの世界の者たちにはどうしようもないだろう…何せこの世界にはそのような対処ができるような設計でわたしは作ってはいないから。

異物を排除しなければならない…。けれど、どうすれば…。

一度作った世界には既に設計が組み込まれた後だ、なんど作り直してもその設計から大きく逸脱することはできない―――もしも意図的に逸脱させたら予想のできない挙動になる。

要するに、作り直しで再現や改善が難しくなる。

世界の状況は見れても、直接的な干渉をこちらからしてしまえばその干渉は、いくら規模を縮小させて対処しようとしても、それは膜の外から押して籠の中の小石をつまもうとするように、周りにも被害や異常の原因を生んでしまう。

であれば…。

わたしの思いついた方法を、理に告げる。

理は「それは危険を伴う、是認しかねる。世界にはあなたが必要だ、それは世界を守る術を恒久に失うことと等しい」と言った。

それでも、わたしにはそれしか方法を見出すことはできなかった。わたしは駄目な神だから…作った世界を、愛した世界を、守れる方法をこれ以外見つけることはできなかった。

何度も、理を説得した。わたしはこの方法でしか解決できないのだと言った。いくら考えても、それしかわたしには思い浮かばなかった。

理は何度も同じように説得を試みては落ち込むわたしを見かねて、諦めてしまったのか。ついには「ならばせめて貴女が消滅しても、再生しバックアップが出来るよう、私と魂をリンクさせる。肉体はこちらでなんとかする。それが条件だ」と言った。

「女神が不在であるのは私だけでは事足りなくなる、いくらか対処はするが。貴女がそちらにいったらこちらのことは一切認識も干渉もできなくなるぞ」

「上手くやってくれると信じている」そう返すと彼は嘆息して「わかった…。ならば、何としても貴女を幸せにする。それだけは譲らない、どれだけ貴女が望んでいなくても」としぶしぶ了承してくれた。


この方法を取るにあたって設計に支障のない程度に、新たに制約や、肉体の作成を済ませて準備を整えた。

「それじゃ、いってきます」

彼に笑顔を見せて、わたしはわたしの世界を守るために、後戻りのできない、最初で最後の度を始めた。


「これも記録しなければならない私の気持ちも知らないで…貴女は本当に…。それでも私は愛している。愛し続ける。守り続ける。これから先、貴女の事を全て知ることはできなくとも、それが貴女のためと思い続けて私のできることをする…。貴女がそうするように、私もそうする」


記録中断

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