レジェンドノベルスさんから発売されている『迷宮の王』を読んでみました。
私、五年に一冊読んだらいいほう、くらいの頻度でしかラノベを手にしません。
正直馴染めるか、一章くらいで本を投げ出さないか、という心配はあったのですが、
\無事読了/
拍手。
ということで、感想をこちらにまとめてみようと思います。
ただし何分、私の個人的な気持ちです。
ラノベの世界を歩いていないこと(世界地図を見たこともないのです)、また作者様の作品をこの一冊しか読んでいないこともありまして、失礼なことや見当違いなことを申し上げるかもしれません。
最初に、それだけは、平身低頭ご容赦を願うところでございます。
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さて、感想を箇条書きにしてみます。
・「謎のミノタウロス」という状況ひとつで、読者を最後までわくわくさせてくれる、求心力ある筆の運びだなと感じました。ミノタウロス側の心理と人間側の心理のすれ違う様が好き。
・例えば一章目の登場人物を絞ったところは大正解だと思うのですが、短い文章でも世界に入りやすかったです。作者様の技量が素晴らしい。
・これは現在のラノベの共通語なんだろうな、という言葉や設定が見えたのが面白かったです。ドロップとか。
・一次創作を始めた身として、投稿サイトの読者さんが心地よく感じる文の長さや区切り方はこんな感じなのか、という部分も非常に勉強になりました。
・ラノベ読まない私まで食指が動いた、レーベルさんの宣伝方法も大当たりだったと思います。萌え絵のラノベには身を引いちゃう読者層でも、あおり文とカッコイイ表紙イラストで思わずジャケ買いするパターンも多いよね、きっと、と思っちゃいます。この表紙じゃなかったら私は買わなかったかも。
・とても軽くて読みやすい、ライトファンタジーという読感でした。気づいたら一袋食べちゃってたわ、って感じ。その軽さを求める人にはプッシュしていきたい。
・海外SFとかのステーキ級を主食にしてらっしゃる人には…まずは試し読みから入っていただいた方がいいと思います。
・テンプレとかラノベ的言い回しが苦手な人は、かなり薄めかもしれないけど、やっぱり苦手に思ってしまうかもしれません。ミノタウロスはモンスター種であって、舞台はミノス王の迷宮ではないです。レベルは上がりますし、スキルは覚えますし、ポーションは飲み物で、ダンジョンの外は中世ヨーロッパ風。
・面白かったからこそ、この作者様の手による、テンプレ抜きにしてラノベを突き抜けるくらいの作品が読んでみたい。最早それはラノベじゃないのでは、と言われたら…まあそうなんですけど。
ということで、上手くまとまりませんでしたが、ともかく多岐にわたる示唆をいただいた作品でした。
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脱線しますが、折角ならば作者様には是非とも池波正太郎の御大は目指さないでいただきたい。
というか、剣客モノとか江戸人情モノは目指さないでいただきたいなあ。
あれは暗黙の了解とテンプレの世界が多いので。
もちろん、盛り上げる意味で池波御大を引き合いに出されたのは承知の上で、あえて言わせていただくならば、でごさいますが。
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最後に凄く…偉そうに言いますけど…(逃げる準備をしてます)。
ラノベの文脈とテンプレで構成された迷宮では勿体ない、もっと自由に羽ばたいてほしい作者さんだなと思いました。
次回作も楽しみにしております。