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今年も茨城県東海村のJ-PARKの施設公開が行われます。J-PARKは、「聖女様の物理学」におけるSHELのモデルの一つです。
9月28日土曜日 9:00〜15:00です。
JR常磐線 東海駅から徒歩5分の日本原子力研究開発機構本部駐車場にて受付です。そこから無料シャトルバスが出ます。
中学生以上は顔写真付き身分証明書が必要です。原子力関係の機関なので、セキュリティーが厳しいのはご容赦ください。
J-PARKでは、陽子という粒子を光の速さの近くまで加速し、それを使って研究しています。陽子線をいろいろなターゲットに当て、出てくる中性子やミューオンを使えば物質のいろいろな性質、さらには生命活動のミクロな探求が可能です。また物質のさらなるミクロな構造、原子核や素粒子の研究も行われています。
かつて日本では、茨城県つくば市の高エネルギー物理学研究機構(KEK)においてその分野の研究が行われていました。しかし規模の小ささや老朽化が問題でした。J-PARKは当時の研究者の夢が実現されたものです。
しかし2011年、東日本大震災でビームラインにダメージが出たそうです。また当時、東日本では極度の電力不足でしたから、実験などできるはずもなく、J-PARKもKEKも所内は真っ暗だったそうです。たとえば1990年代のKEKは、研究所単独で土浦市に匹敵する電力を消費していたそうで、大震災直後にそれだけの電力の使用が認められるはずもなかったからです。しかしJーPARK職員は懸命の努力の結果、震災後約半年で運転を再開しました。
癌の先進的治療として重粒子線治療というものがあります。その先駆的研究は、KEKの中性子線やミューオン実験と同じ建物で筑波大学により行われていました。このように加速器を用いた研究は、将来身近に役にたつものになるかもしれないのです。
見どころ1 リニアック加速機
陽子という粒子を電気の力で加速します。全長330mもあり、現代の巨大科学を体感してください。
※事前申込制
見どころ2 物質・生命科学実験施設(MLF)
加速された陽子をターゲットにあてて中性子線をつくり、その中性子線で物質の構造や熱的・磁気的な性質をさぐります。
修二が高温超伝導体を実験したチョッパー分光器のモデルはここにあります。
その他、ミューオンという粒子を使った実験も行われています。
昨年の施設公開では、実験室が公開されずヴァーチャル公開のみでした。今年は実験室内の見学が可能で、チョッパー分光器本体を見学できるかもしれません。チョッパー分光器は3台あるはずです。
見どころ3 研究用原子炉JRR-3(原子力科学研究所)
原子炉から取り出された中性子線で、物質の構造や熱的・磁気的性質をさぐります。MLFとJRR-3で得手不得手がことなるので、お互い補い合うような関係になっています。
一般の方が、これほど原子炉本体に近づける機会はまずないので、超おすすめです。
原子炉に批判的な方も多いと思います。そのような方こそ、現場がいかに「危険」な原子炉とむきあっているか実感していただきたいと思います。
※事前申込制