物語本編は現在、聖王歴438年。
聖王歴とはアーリヤ半島を統一した聖王アーサーが生まれた年を元年とした紀年法。
現在のアーリヤ半島に名を連ねる国々は、アーサーが興したアヴァロン帝国が滅んだ後に興国している。
元々はアヴァロン王国で半島統一後に聖アヴァロン帝国に改名、それに合わせてアーサー王もアーサー帝へ君主号を変更したがその翌年に崩御してしまった。
紀年法も当初は聖帝歴だったが、王侯貴族に多くの災難と不幸が降り注ぎ天災も非常に多かったため、聖帝歴50年を機に聖王歴へと改められた。
聖王歴元年にした訳では無く、まるで聖帝歴が無かったかの様に聖王歴へと刷新し引き続き聖王歴50年とした。
今や伝説の様に語り継がれているが、未だに地位の高い者が名前を変えるのは禁忌とされている。
婿入りや嫁入り等で家名などが変更する際は名のある司祭などに祓ってもらうのが通例となっている。
アヴァロン帝国崩壊後の変遷は、まず半島西方にクラーン王国が興り、その影響で各地で地方の下級貴族や豪族などの蜂起が頻発した。
アヴァロン帝国は体制を王国へと戻し、西方のクラーン王国に対抗したがその勢いを止める事は出来ず徐々に衰退してゆく。
その最中に当時は一地方貴族だったサリィズ家が有力な豪族らを取り纏め台頭する。
西のクラーン、東のサリィズとアーリヤ半島を二分した。
それが300年前の話で、両強国は約100年間戦争を断続的に繰り返した。
明確な勝ち負けは付かなかったが、東の大国であるレイエイ王国の後ろ盾を得たサリィズ王国は徐々に勢力を伸ばし遂にはクラーン王国を崩壊手前まで追い込む。
しかし長き戦乱の世の煽りを受け、サリィズ王国も無傷とは言えず東方の国々の脅威もあったためクラーン王国とは無期限の停戦条約を締結した。
その後クラーン王国は、時の流れと共に内部分裂を起こしゴール王国やドミアン公国など大小7か国に分裂してしまった。
ドミアン公国、ナジア騎士団領、ゼイル大公国、エイジン都市同盟は当初ファルド王国として建国したが、王家の有力者が次々に暗殺され興国より10年を待たず分裂してしまった。
現在の半島勢力が世に出揃ったのは約50年ほど前のこと。