• 詩・童話・その他

いにしえの森

緑深く、霞が巡る森の最奥。

堅牢な静脈のように網の目を張り、辺り一帯の大樹と繋がる節暮だった根の隙間からは、外的に目を光らせつつも子供をあやす貉の姿が覗く。

人の介入を拒むこの森では、たいそれた天敵も居らぬほど平穏に暮らしてはいるものの、やはり生来かねそなえた本能の甘美さには無意識下でも反応してしまうのであった。

地上から見上げるほどの高さまで成長した茂みの葉の群れが、延々と太陽の光を遮っていた────

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