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誰も傷つけない物語の補足

誰も傷つけない物語とは、誰にも気づかれない物語です。

別に、悪意でわざとやっているわけではなくても、そうです。

善意で書いている物語でさえ、そうです。

『誰も』というのは、とても難しい。




例えば、愛をテーマに物語を書くとしましょう。


それが、家族愛を称える物語であればどうでしょうか。


ひょっとすると、『誰も』傷つけないとお考えですか? 家族関係に苦しんでいる人にとって、無邪気に家族を神聖視する言説がどう聞こえると思いますか?


では、そんな人々の気持ちに配慮してみましょう。

家族を称えない物語などいかがでしょうか? だとすれば、愛する家族をたたえることを『禁止』された人の苦しみはどうしますか?



屁理屈でしょうか?



それとも、それらの人々は『ごく例外的』な存在なので『誰も傷つけない物語』の『誰も』に含めないとしてしまいますか?

よしんばそうだとして、誰が、その『誰も』の線引きを決めるのですか?

誰かを、『誰も』から排除することが『無害』で『誰も傷つけない』とお考えですか?


誰も傷つけない物語って、どこにあるんだろうなぁ。

おしまい。

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