神々は死んだ。
文明は滅びた。
歴史は失われ、書き換えられ、やがて神話になった。
それでも、この世界で生きる者たちは終わらなかった。
名もなき兵士。
まだ飛ぶことすら知らない少女。
世界の片隅で恋をした二人。
人の手によって生み出された生命。
英雄にならなかった者。
後世では怪物と呼ばれた者。
そして、自分たちの生きた時代がいつか「歴史」になることさえ知らなかった人々。
世界は七つの紀元を経た。
そのあいだに幾度も文明は途絶え、国は消え、種族は形を変え、真実は伝説へと姿を変えた。
けれど、後世から見れば奇跡と呼ぶしかない出来事も、その始まりを辿れば、たいていはひどく小さなものだった。
誰かが手を伸ばしたこと。
誰かが逃げなかったこと。
誰かを愛したこと。
何気なく残した言葉。
本人さえ忘れてしまった選択。
神々の目から見れば、草芥にも等しい命だったのかもしれない。
だが神々は死んだ。
彼らは残った。
幾度もの《大静寂》を越え、滅びた者たちの上に立ち、時には何も知らないまま、次の時代へ世界を手渡していった。
これは、一人の英雄の物語ではない。
七つの紀元を生きた、数えきれない生命の物語。
彼らが有意に、あるいは無意識に積み重ねたものが、
いつかひとつの奇跡へ辿り着くまでの――
長い、長い物語である。
※各作品は同一世界を舞台としていますが、基本的にそれぞれ独立した物語としてお読みいただけます。
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