井中は文章を書くのが遅いのに加えて怠惰である。
だから奴が本年のカクヨムコンへの応募を宣言した際、私は阿呆ではないかと思った。スタートが遅すぎる。
根性でなんとかなるという。そういうことは、根性で何かを成し遂げてから口にしてほしいものである。
案の定、奴は仕事にかまけて執筆を怠け、今年度のカクヨムコンへの応募は絶望的となった。
自業自得である。
しかし、奴は開き直り、よい作品のためにはある程度の時間は必要である、と言った。
それはいつまで経っても作品を完成できぬ者の常套句だ、とは言わないでおいてやった。
(丼中昭)