睦永 猫乃様から「裏話的なお話を」とリクエストを頂きましたので、少しだけ語らせていただきます。
・構想のきっかけ
この作品を考え始めたのは、私自身が精神的に不安定になっていた頃でした。
「エログロ耽美を書きたい!」という欲求が噴き上がり、衝動的に書き始めたものです。
・なぜ蜘蛛(タランチュラ)なのか
物語の結末を思い描いたとき、人間界から切り離された環境を描きたかった。そこで「巣を作る生き物」という条件がまず必要になりました。
主人公の陶酔や破滅を表す比喩として「毒」を持っていてほしかった。その時点で大半の恒温動物は除外されました。
主人公の偏愛を映すには、「一般に理解されにくい存在」である必要がありました。
以前から「モフモフ要素を持つ生き物を出してほしい」という要望も頂いていました。
これらの条件、また以下のタイトル案など、すべて満たすのがタランチュラだったのです。
・タイトルと副題の意味
題名はもちろん「八岐大蛇」から着想を得ています。
ただし、本作が万人受けするとは思っていなかったため、読む方に「段階的に覚悟を問う」構成を取りました。
各話で表現を少しずつ強めていく。
そのうえで「読む/読まない」という岐路を読者に迫る。
7話+冒頭(リンクを開くか否か)の計8つの選択肢=八岐、という仕組みにしました。
タイトル、副題に含まれる「ノ」は、蜘蛛の脚をイメージしています。タイトルと副題を合わせると、ちょうど八本になるわけです。
このように、精神的衝動と構造的な遊び心の両方から生まれたのが『八岐ノ彼氏』となります。
https://kakuyomu.jp/works/16818792440537217764