はじめまして、尾崎滋流(おざきしぐる)と申します。
しばらく前から趣味で小説を書いていたのですが、今回『カクヨム公式自主企画「百合小説」』に参加してみようと思い、カクヨムに登録しました。
私はクィアSFを書きます。
自分の書くものをこのように規定することには良し悪しがあるかもしれませんが、こう明言することにしたことにはきっかけがあります。
そのきっかけとは、SFメディア「バゴプラ/Kaguya Planet」によるSFアンソロジー、『結晶するプリズム 翻訳クィアSFアンソロジー』の刊行です。このアンソロジーはクラウドファンディングを経て制作され、2023年6月にプライド月間を記念して無料公開されました。
私はSFファンですが、しかし従来のSFアンソロジーを読んでいると、未来世界や異世界を描いているにも関わらず、現実世界と同じような昔ながらの家族観や異性愛規範がそのまま前提となっている作品がしばしばあり、なんだかなあと思うことがよくあります。
もちろん、例えば自覚的にそのような価値観を登場させ、それそのものがテーマになっているようなものであれば面白いのですが、そうではなく、そのような価値観が物語の背景として無批判に採用されていると、「これじゃ単なる現実じゃん」とがっかりしてしまいます。せっかく現実とは違う世界を構築しているのに、家族観や性愛観を再検討しようとは思わないんだな……と思ってしまうわけですね。
その点このアンソロジー『結晶するプリズム』は、なにせ「クィアSFアンソロジー」と銘打たれているので、少なくともそういう心配がなく、とても興味深く読むことができました。
当然のことですが、これは飽くまで作品を構成する要素の話であり、作品の面白さや質を保証するものではないのですが、それでもクィアな感覚をもつSFを何篇も続けて読めるということは得難い経験でした。
このアンソロジーは、「クィアな物語を読みたい」と、様々な理由によって思っていた人々に向けて編まれたものだと思います。であれば、私ももしSF小説を発表するのであれば、「クィアSF」と銘打っておきたいと思った次第です。
『カクヨム公式自主企画「百合小説」』に参加する小説は、近未来のシンガポールを舞台にした7000字の短編です。
拙い作品ではありますが、楽しんでいただければ幸いです。
また、すでに数本の作品ストックがありますので、今後も順次投稿していきたいと思います。
よろしくお願いします。