連続投稿をどうかお許しください。こちらは『あやかしバトル夜十時』のキャラクター「ツクモン」という謎のあやかしに頂いたFA(by 夢月みつき様)と、それに寄せたSSです。
そうなのです。素人作家が妄想した謎のあやかし(しかもむちゃくちゃな描写)をイラスト化してくださったのです。大変だったそうです(で、ですよねー)。でもイメージぴったりで、しかもめちゃくちゃかわいいのです。本当にすごいです。夢月さまに今一度、心からの御礼を申し上げます。
『あやかしバトル夜十時』FA記念SS ②
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『昼間のツクモン』(1414字)
喜多ミチカはウチの新たなパートナーじゃ。ウチはあの子のことを「ミッちゃん」と呼んでおる。逆にミッちゃんはウチに「ツクモン」という名前をくれたんじゃ。まあ、ウチは本当は付喪神では……ってそんな話はどうでもええな。
はぁ。今日もミッちゃんは元気に学校に行ってしもうた。さみしいのう。ウチはな〜んの力ももっとらんランクFのあやかしじゃからな。ミッちゃんが羊毛フェルトっちゅうやつで作ってくれたこのスペシャルな依代でも、さすがに昼間は動けんのじゃ。
そんなわけでミッちゃんが学校に行っとる間はリリと仲良く、ママさんの書斎でお留守番じゃ。ああ、リリっちゅうのは『あやかしバトル夜十時』のナビをしとる下級のあやかしじゃ。ミッちゃんの光るかまぼこ板(スマホじゃったか?)に居憑いとるんじゃが、こやつもなんとも変わっておるわ。おそらく***は自我を持たぬあやかしを束ねて理(システム)を創りたかったんじゃろうが、リリはばっちり自我を持っとるからのう。まあ、ウチとしては話し相手がおってありがたいがな。
「のう、リリよ。いま何時じゃ? まだミッちゃんは帰らんのか?」
『午後3時30分です。ミチカが登校してからすでに25回目ですよ、この質問は。そんなに待ち遠しければ、学校に連れていってもらうようミチカに頼めばいいではないですか』
いや、それはなんというか恥ずかしいじゃろ。あと「かさばるからムリ」とか言われたら傷つくじゃろが。けっこうデカいんじゃよ、ウチのボディは。
『ミチカがそんなこと言うはずない……とも言い切れませんね』
じゃろ? でもまぁミッちゃんがウチらのことを大切に想ってくれとるのは本当じゃ。でなければウチらのようなランクFのあやかしが昼間に談笑するなど無理じゃからな。信じてくれとるから力が湧いてくるんじゃ。
『ツクモン殿、申し上げづらいのですが、私のランクはFではなく、Eです。システムを通して確認したので間違いありません』
なぬー!! 裏切りじゃー! ぐぬぬ。でもいいもーんじゃ。ランクなんか関係ないことをウチとミッちゃんが証明してやるんじゃ。見ておれ、ランクAのアイツもアイツもコテンパンじゃ!
『ええ。ミチカとツクモン殿ならきっとそんな無謀な夢も叶えてしまうのでしょうね』
なんじゃ? えらい素直でちょっと気味が悪いのう。言うとくが、リリよ、おぬしも一緒にやるんじゃよ!? EなんかFと変わらんじゃろが。
『私は……』
「たっだいまー!!」
ミッちゃん!! 帰ってきたんか! おかえりなのじゃーって、しまった! ウチのボディがピクッと動いてしもうた! お、落ちるー。
「よっと。このお人形はミチカが帰ってくるたびに机から落ちるんだけど、ミチカが帰ってくるのがそんなに嬉しいのかしらね。ふふ、私と一緒ね」
ママさん、ナイスキャッチなのじゃ!
「お母さーん! ツクモンは元気にしてた!? お母さんのお仕事の邪魔してない?」
「おかえりミチカ。大丈夫よ。ツクモンも私もあなたの帰りをずっと楽しみに待ってたわよ」
そうじゃそうじゃ! やっぱりミッちゃんは最高なのじゃ。リリよ、いま何時じゃ? 夜の十時はまだか? はようミッちゃんとお話ししたいんじゃ!
『まったく堪え性のないあやかしですね、あなたも……私も』
なっはっはー! リリもようやく素直になってきたようじゃな。あやかしとはそういうものなんじゃよ。どうしようもなく惹かれるんじゃ。目が眩むほどの輝きに、一寸先も見えぬ暗闇に――人間というものにな。
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夢月みつき様、そしてお付き合いくださったすべての皆さまに、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
――システムアラート。
――***への不正アクセスを検知。閲覧したすべての存在から該当する記憶を消去します。クリア。
――それでは今後とも良き夢《バトル》を。
(2024/09/26 夜十時)